小選挙区制との折衷・欠点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/26 05:57 UTC 版)
「比例代表制」の記事における「小選挙区制との折衷・欠点」の解説
比例代表制には短所もあることから各選挙制度の利点と欠点を補い相互のバランスをとる折衷型の選挙制度がとられることが多い。日本などは小選挙区をメインにした小選挙区比例代表並立制、ドイツなどは比例代表制をメインにした小選挙区比例代表併用制である。ただし、ドイツのような小選挙区比例代表併用制では完全比例代表制と同じく、単独過半数を取ることが事実上不可能なので中道左派(ドイツ社会民主党)と中道右派(ドイツキリスト教民主同盟とバイエルン・キリスト教社会同盟)の大連立内閣が戦後に長期に渡って続いている。イタリアは比例のみから1994年に小選挙区比例代表混合制、2017年から小選挙区比例代表並立制に制度改革している。「併用制」は比例代表の結果によって全体の議席数が割り振られ、「並立制」は小選挙区と比例代表で議席が別々に割り振られるという違いがある。 阻止条項・足切り条項 詳細は「阻止条項(足切り条項)」を参照 小党濫立を防ぐため、得票率が基準値を下回る政党には議席を配分しないという取り決め。例えばドイツでは、全国の得票率が5%未満の政党には議席が配分されない(ただし3つ以上の小選挙区で第1位の得票を得た政党には議席が配分される)。 趣旨の通り、直接的には小政党・無所属・個人政党の得票率は切り捨てられる(直接的影響)。また、基準値に近い得票率の政党は他の政党より少ない得票率変化で大きな議席数変化が起こり、基準値を確実に下回る政党は多少の得票率変化では議席数が0のまま変化しないので、基準値ギリギリの政党への投票が行われ易くなり、基準値を下回る政党への投票が避けられる戦略投票が誘発される(心理的影響)。ドイツでは、阻止条項ギリギリの連立相手政党が条項に引っかかって議席を全て失うのを避けるため、大政党の票の一部が基準値ギリギリの政党に流れる選挙協力が見られる。デュヴェルジェの法則と同様、心理的影響は得票率の段階から働くため、得票率と議席占有率が乖離する直接的影響より発見されにくい。
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