小澤実とは? わかりやすく解説

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小澤實

小澤實の俳句

MADE IN SHANGHAIの花火なりしが不発なり
「はい」と言ふ土筆摘んでるの」と聞く
かげろふやバターの匂ひして唇
くわゐ煮てくるるといふに煮てくれず
さらしくじら人類すでに黄昏て
ふかく眠りぬ秋草の生けあれば
ふはふはのふくろうの子のふかれをり
みちのくのおほてらの池普請かな
ゆたんぽのぶりきのなみのあはれかな
一太刀に穴子の頭飛びにけり
友死すや啜りて牡蠣のうすき肉
君胡麻擂れ我擂鉢を押さへゐむ
噴井愛しぬ噴井に眼鏡落すまで
夏芝居監持某出てすぐ死
大寺のいくつほろびし日向ぼこ
子燕のこぼれむばかりこぼれざる
帰るべき山霞みをり帰らむか
文学を捨てし誰彼ゐのこづち
文楽の頭に懸想水草生ふ
水墨の槎に孤客冬深む
水晶の大塊に春きざすなり
浅蜊の舌別の浅蜊の舌にさはり
海鼠突く銛を持たせてくれたるよ
炎天の一点として飛べるなり
空中に虻とどまれり恋人来
窓あけば家よろこびぬ秋の雲
芋虫のまはり明るく進みをり
茅舎旧居露の呼鈴押したしよ
虚子もなし風生もなし涼しさよ
蛇口の構造に関する論考蛭泳ぐ
透谷の死に方はうれん草ゆでる
遠足バスいつまでも子の出できたる
雪晴や猫舌にして大男
露の玉考へてをりふるへをり
飄客の束ね髪なり雪景色
鮟鱇を食らひ地獄に堕ちんかな
 

小澤實

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/05 04:23 UTC 版)

小澤 實(おざわ みのる、1956年8月29日 - )は、日本の俳人俳文学者。大学時代より「」に所属し藤田湘子に師事。2000年に俳誌「澤」を創刊・主宰。本名・実。

経歴

長野県長野市生まれ。1972年、長野県松本深志高等学校に入学。同級にのちに小説家長野県知事となる田中康夫がいた。高校時代は文学部の機関誌に小説を寄せ、ガリ版刷りの小詩集を刊行するなどした。1976年、信州大学人文学部在学中に信大連句会に参加、東明雅の指導を受ける。翌年、連句会の連衆であった宮坂静生のてほどきで俳句をはじめ、同年「」に入会、藤田湘子に師事。また大学で信大俳句会を結成する。

1979年、大学を卒業し、成城大学大学院文学研究科修士課程に進学、尾形仂に師事し、北条霞亭など江戸時代の漢詩人の書簡を解読。1980年「」新人賞受賞、1982年「」俳句賞受賞。1984年、同文学研究科博士課程単位取得満期退学。1985年、「」編集長に就任。

1999年、「」を退会し、2000年、「澤」を創刊・主宰。門下に川上弘美、葛西省子、林雅樹、押野裕、野崎海芋、榮猿丸相子智恵、椎野順子、堀田季何、森下秋露、池田瑠那などがいる。

跡見学園女子大学早稲田大学などで非常勤講師を務める。俳人協会会員(現在、常務理事)、俳文学会会員、日本文藝家協会会員。NHK俳句選者。2011年より角川俳句賞選考委員。

受賞

作風

代表的な句に「本の山くづれて遠き海に鮫」「ゆたんぽのぶりきのなみのあはれかな」(『砧』収録)、「夏芝居監物某出てすぐ死」「大寺のいくつほろびし日向ぼこ」(『立像』収録)、「林中にわが泉あり初茜」「神護景雲元年写経生昼寝」(『瞬間』収録)などがある。有季定型を重んじつつ幅広い対象を俳諧味豊かに詠んでおり、新人であった20代の頃から技巧派と称される。

句会での題詠を得意としており、「神護景雲」の句も句会で「神」の席題を与えられ即興で作ったものだという。また特に第三句集以降、「たれ刷いてうなぎの艶やさらに刷く」(『瞬間』)のような形の、中七で切れを作り下五でダメ押しのようにさらに対象の描写を続ける手法を好んで用いており、「澤」門人にもしばしば見られるこのような句風は「澤調」とも「一物深掘り」とも呼ばれている。

本人は「俳句は謙虚な詩である」として挨拶性を重視、俳句は作者の個性の発揮よりも詠む対象や読者、言葉を生かすことを考えるべきものとしている(「俳句は謙虚な詩である」『澤』創刊号掲載、『セレクション俳人 小澤實集』再録)。

著書

  • 句集『砧』牧羊社、1986年
  • 句集『立像』角川書店、1997年
  • 万太郎の一句』ふらんす堂、2005年
  • 句集『瞬間』角川書店、2005年
  • 選集『小澤實集』邑書林〈セレクション俳人〉、2005年
  • 『俳句のはじまる場所-実力俳人への道』角川学芸出版〈角川選書〉、2007年
  • 『名句の所以: 近現代俳句をじっくり読む』毎日新聞出版、2018年
  • 『芭蕉の風景』上下、ウェッジ、2021年
  • 句集『瓦礫抄』ふらんす堂〈澤俳句叢書〉、2022年
  • 句集『澤』KADOKAWA〈澤俳句叢書〉、2023年

共編著・監修

参考文献

  • 坂口昌弘著『平成俳句の好敵手』文學の森
  • 『小澤實集 セレクション俳人5―澤俳句叢書第三篇』 邑書林、2005年
  • 小川軽舟 『現代俳句の海図 昭和三十年世代の俳人たちの行方』 角川学芸出版、2008年
  • 大屋達治 「小澤實」 『現代俳句大事典』 三省堂、2005年

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