対戦車無反動砲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 01:39 UTC 版)
「スポッティングライフル」の記事における「対戦車無反動砲」の解説
スポッティングライフルは、1950年代から1970年代にかけて設計された対戦車無反動砲で広く用いられた。こうした火砲は目視による直接照準射撃に用いられるが、構造上の都合から発砲時の初速が低く、また、発射された砲弾は曲射弾道を取るため、有効な射撃を行うには精密な照準が必要である。また、無反動砲を発砲すると、後方噴煙や巻き上げられた砂塵などによって敵から容易に発見されてしまうため、極力初弾を命中させる必要がある。しかし、当時の火砲用光学視差式距離計は小型軽量の無反動砲に搭載するには大きくかさばるという欠点があった事から、より軽量かつ単純で直感的に照準を行えるスポッティングライフルが広く使われるようになった。後に小型のレーザー式距離計が開発されると、スポッティングライフルはこれに置換されていった。 イギリス製の120mm対戦車無反動砲BATシリーズでは様々な種類の照準器が用いられた。オリジナルのBATは光学照準器のみ搭載されていたが、携行性を高めた軽量改良型のMoBATではブレン軽機関銃の7.62x51mm NATO弾型であるL4軽機関銃をスポッティングライフルとして搭載していた。BATシリーズの最終モデルとなるWOMBATでは、M40無反動砲などと同様のレミントン製50口径スポッティングライフル、M8C(M8C .50)を搭載していた。これらはいずれもガス圧動作式の半自動銃として使用された。M40無反動砲の場合、砲架の高低ハンドルの中心にあるノブを引くとM8C、次いで押し込むとM40が発砲される。なお、M8Cが使用する50口径弾は12.7x76mm弾であり、ブローニングM2重機関銃などが使用する12.7x99mm弾とは異なる。弾丸は肉薄の弾殻に炸薬を内蔵した曳光弾で、飛翔中には底部の曳光剤が発光し、着弾すると炸薬が炸裂することで射手に弾道を示す。 複数基の無反動砲を搭載する車両は、通常はそれぞれの砲ごとにスポッティングライフルを搭載した。ただし、M50オントス自走無反動砲の場合は、6基の無反動砲のうち上部の4本にのみスポッティングライフルが取り付けられていた。ベトナム戦争に投入されたオントスの写真には、さらに2基減らして左右1基ずつのスポッティングライフルのみ搭載しているものも見られる。 フエの戦い(英語版)の最中、M40無反動砲を使用するアメリカ海兵隊の隊員砲身の真上にあるものがスポッティングライフル M50自走無反動砲。上部4基の砲架にのみスポッティングライフルが取り付けられている ベトナム戦争におけるM50自走無反動砲。砲が片側2基に減らされており、スポッティングライフルは上部の砲架にのみ取り付けられていることがわかる 60式自走無反動砲。砲の上部にスポッティングライフルがあることがわかる
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