寛解モデル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 09:58 UTC 版)
「境界性パーソナリティ障害」の記事における「寛解モデル」の解説
併存疾患(気分障害、物質使用障害、不安障害、摂食障害、PTSDなど)の寛解または治癒はパーソナリティへの影響も大きく、治癒を促進させる。その他の寛解に至りやすい要因としては以下のものが挙げられる。 晩熟現象 年齢を重ねることでパーソナリティが成熟するなど、自然経過によるもの。 家族の理解と援助 親や配偶者に対して治療者が心理教育を施すなど。家族が患者に対し表出する感情をEE(expressed emotion)と呼ぶ。精神疾患を持つ患者に対し敵意、批判、情緒的巻き込まれを示す家族はEEが高いと評され、患者にとって大きなストレスとなる。統合失調症の患者を調査したところ、EEの高い家庭ではEEの低い家庭よりも再発率が有意に高かった。家族の理解と援助は再発を予防し治癒率を高める。 ガンダーソンは、BPDの患者の家族は、本人が病気になることで負う損失を理解していないことが多いと述べた。EEの高い家族ほど、患者の行動を「故意のもの」と捉えているという。患者の症状はしばしば家族との相互関係によって引き起こされる。家族への心理教育は、患者が理解されることによって家庭内の不和が減少する利益がある。心理介入をすることで、患者と常に向き合う家族の苦悩を和らげることができる。 環境の改善 良き相手との結婚、あるいは不仲な配偶者との離婚。裁判や争いごとの終結、ストレスのある人間関係の解消などは、ストレス耐性の脆弱な患者の回復を顕著に促進することがある。 社会での良い経験 自分に合った職にめぐり合う、趣味の会への参加や、グループホームなどの地域の社会資源の活用、自助グループ(エモーションズ・アノニマスなどがある)への参加など。特にアルコール依存を併発している患者は、アルコール症者の自助グループへの参加をすることは、予後に良い影響を与えるとされる。
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