子宮頸癌の治療法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 14:02 UTC 版)
子宮頸癌の進行期は軽度のものから順に0期、IA1期、IA2期、IB1期、IB2期、IIA期、IIB期、IIIA期、IIIB期、IVA期、IVB期に分類される。 0期(上皮内癌)は癌が粘膜層にとどまっている段階であり、異形成と同様に円錐切除術で完治可能。しかし、挙児希望がなければ子宮全摘術を行うこともある。 IA期は程度が軽い場合は円錐切除術で子宮を残すことが可能であるが、円錐切除術で病変を取りきれない場合は子宮全摘術を行う。 IB期以降の進行癌の場合は子宮のほか、卵巣や卵管、その周りのリンパ節などの臓器も摘出する。国内ではIII期やIV期でも手術をおこなうことがあり、III期では動静脈を切断して靭帯の根部から摘出する術式が、IVA期では膀胱、直腸なども摘出する術式が取られることもある。 IA~IVA期の術後治療として、中間リスク群には放射線治療(+化学療法)、高リスク群にはシスプラチンと放射線治療の併用療法を行う。 骨盤内再発または後腹膜リンパ節再発に対しては、放射線治療を行っていなければ放射線治療を実施する。骨盤内再発で切除可能であれば手術も検討する。 上記以外の再発例およびIVB期症例では化学療法を検討する。シスプラチン+パクリタキセルの併用療法が標準であり、本邦ではJCOG0505試験の結果からカルボプラチン+パクリタキセルの併用療法も行われる。GOG240試験の結果をもとに、ベバシズマブの併用も検討される。 米国の子宮頚癌ガイドラインではIA2期以降では放射線療法単独療法、IB2期以降では放射線療法化学療法併用療法が推奨されている。 IIb期に対して、広範子宮全摘出術+その後放射線治療を追加するといった治療法を選択しているのは日本だけであり、欧米では、術後照射による治療後数年にわたる下肢のむくみや治療中に起こりうる骨盤内リンパ浮腫の悪化に配慮し、同等以上の成績である根治的放射線療法(±化学療法)が選択されている。広汎子宮全摘出術では術後に、イレウスや下肢リンパ浮腫、排尿障害といった副作用が起こることがあるデメリットがある。日本における2004年から2007年に多施設共同前向き試験では、放射線単独治療によって3年生存率が95%と欧米の治療成績と同等であり、日本の放射線単独治療の安全性と有効性は証明された。
※この「子宮頸癌の治療法」の解説は、「子宮頸癌」の解説の一部です。
「子宮頸癌の治療法」を含む「子宮頸癌」の記事については、「子宮頸癌」の概要を参照ください。
- 子宮頸癌の治療法のページへのリンク