天守復元の検討
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 08:27 UTC 版)
天守の構造について確定的な資料は発見されていない。このため、復元時に採用する構造については様々な立場から複数の案が出されている。 以下に代表的な例を挙げる(全て慶長2期天守の復元案)。 内藤昌案 - 2階上に土瓦の腰屋根を追加し、3階上の屋根を白鑞瓦としている。3階上に大入母屋を載せ、6階と7階は同一平面規模(6階は破風部屋)の5重7階、後期望楼式。白漆喰壁(ただし柱型は黒色)で最上階に高欄を設けている。 八木清勝案 - 2階上に土瓦の腰屋根を追加し、3階上と5階上に大入母屋を載せた6重7階、後期望楼型。白漆喰壁(ただし3階のみ黒色)で最上階に高欄を設けている。1階の玄関に大きな唐破風があるので、2階の高欄の一部が途切れている。 宮上茂隆案 - 2階上に土瓦の腰屋根を追加し、3階上の屋根を白鑞瓦としている。5階上に大入母屋を載せ、6階と7階は同一平面規模(6階は破風部屋)の5重7階、後期望楼式。白漆喰壁。 三浦正幸案 - 2階上に土瓦の腰屋根を追加している。6重7階の層塔式、壁面は黒色処理をした銅板張り。 西ヶ谷恭弘案 - 2階上に土瓦の腰屋根を追加し、3階上の屋根を白鑞瓦としている。6重7階で白漆喰壁で、最初に後期望楼式をその後に層塔式の案を出す。 平井聖案 - 5重7階の層塔式で、壁面は黒色(ただし、6重も考慮している)。 静岡市による検討 「静岡市駿府城天守閣建設可能性検討委員会」で有識者による検討会が8回にわたって行われた結果、2010年3月に天守復元をはじめとした城跡の公園整備についての提言がまとめられた。 これによると、公園整備は単なる観光目的ではなく「風格」のあるものとして整備することが望ましいとされている。また、天守など復元建築物については史実に忠実であるべきだが、確定的な資料も発見されておらず最低限必要な資料が揃っていないため現時点での復元は困難としている。一方で天守台については確定的な資料があるため、史実に基づく復元は可能という。 同委員会では、現時点で天守復元についての結論を得ることはできない現状とともに、まずは城跡としての文化財的価値についての理解や国による史跡指定が必要な段階としており、その観点から公園名を「駿府城公園」に変更することを提言した。
※この「天守復元の検討」の解説は、「駿府城」の解説の一部です。
「天守復元の検討」を含む「駿府城」の記事については、「駿府城」の概要を参照ください。
- 天守復元の検討のページへのリンク