大阪一審
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2011年2月25日、大阪地裁は製薬会社の責任は一部認めたが、国の責任は認めない判決を言い渡した。2002年7月の第1版添付文書については「治験その他の臨床試験の結果等から、死に至る可能性がある間質性肺炎等を発症する危険性についての認識可能性があった」「医療現場の医師等は、分子標的治療薬についての理解は十分ではなく、医学雑誌等から情報を得るほかない状況にあった。そして、必ずしも肺がん化学療法についての十分な知識と経験を有するとは限らない医師等がイレッサを使用することが予想され、また、イレッサは、患者が自宅で服用することができる経口薬であったため、薬事・食品衛生審議会で危惧されたとおり、副作用に関する警戒を十分にしないまま広く用いられる危険性があったといわざるを得ない」として「製造物責任法上の指示・警告上の欠陥」を認めたが、2002年10月15日の第3版添付文書については「製造物責任法上の指示・警告上の欠陥」を否定した。また、「設計上の欠陥」「広告宣伝上の欠陥、販売指示上の欠陥等」「適応拡大による過失/広告宣伝による過失、販売上の指示(使用限定等)を怠った過失等による不法行為責任」についても否定した。国の国家賠償法上の責任については、承認当時も現在もイレッサの有用性を認めることができるとして、承認に違法性はないとした。また、「間質性肺炎を[重大な副作用]欄に記載しただけでは、間質性肺炎に関する警戒がないままイレッサが広く用いられ、死亡を含む重篤な副作用が発症する危険が具体化することを、高度の蓋然性をもって認識することはできなかった」「許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くものであったと認めることはできない」(判例のクロロキン薬害訴訟参照)として、承認時および2002年10月15日に緊急安全性情報の行政指導を行うまでの間の安全性確保措置をとらなかったことの違法性も否定した。
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