多様な民意の反映と下院の過誤の修正
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/10 06:51 UTC 版)
「両院制」の記事における「多様な民意の反映と下院の過誤の修正」の解説
二度の審議を行うことで、下院の決定に過誤があった際に改めることが期待されている。すなわち、司法における三審制と同様、人間が過ちを犯しうることから慎重に手続を進めることを意図しているものである。したがって、選挙方法および選挙時期を下院と異なるものにすることが望まれる。例えば参議院の選挙制度は当初衆議院の中選挙区制との差別化を図り、全国区と地方区に分けた選挙制度をとっていた。 「両院制」の意義は「多角的な民意の反映」というのが本来の趣旨である。これは双方異なった方法で選出されて構成される議院が存在することによって、様々な角度からの意見が反映されていくことでより深い議論が出来るというものである。加えて、下院のみでは代表され得ない国民の意思を国政に反映させ、国民の意思を問う回数を増やすという意義もあるとされる。 下院に相当する議院は基本的には、社会の多勢を占める中産階級の利害を代表している。政治が異なる利害の調節を行なう作業である以上、中産階級で代表されるものとは別の視点からの利害を何らかの形で反映するメカニズムが存在しなければならない。それは少数民族であったり、各地方の利害であったりする。社会が複数の民族から構成される場合や、異なる言語集団から構成される場合は特に重要となる。 現代においては、両院の力が対等であることは少ない。立法に関しては下院に優越がある場合が多く、上院に法案を否決する権利が無い、あるいは制限されていることが多い。行政に関しては、予算や条約の承認などで、どちらかの院にのみ決定権を与えている国が多い。両院の異なる選出メカニズムをふまえ、その民意を適切に反映させるために役割分担がなされるのである。
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