堤防の種類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 15:27 UTC 版)
本堤洪水を防ぐ役割を主に担う連続堤のことを本堤という。 副堤、控え堤、二線堤本堤の保護やバックアップの目的で設けられる小さい堤防のことを副堤、控え堤、二線堤という。 横堤河道とほぼ直角に、本堤から河川に向かって設けられた堤防のこと。洪水の流れを受け止めて流速を落とし、遊水池のような効果も期待できる。河川敷を広く取った場所に造られ、普段は耕地として利用されている他、天端部を橋に接続する道路として使用されているものもある。 埼玉県比企郡吉見町から戸田市にかけての荒川に荒川横堤が設けられた。岐阜県、愛知県の木曽川流域の猿尾堤では河道とほぼ直角に設けられているが遊水機能はない。また遊水機能がない河道にほぼ直角に設けられている堤防を「突堤」と表記して横提と区別している本もある。 囲繞堤、周囲堤、越流堤遊水池を設けて氾濫した水の受け皿とする場合、遊水池と川を隔てる堤防を囲繞堤(いじょうてい、いにょうてい、いぎょうてい)、遊水池と人家のある土地を隔てる堤防を周囲堤とよぶ。また、遊水池へ水を導くためわざと堤防を低くしてある部分を越流堤(別名:洗い堰)とよぶ。越流堤には流水により浸食されない強固な構造が要求される。 背割堤河川の合流部に、二つの流れを分けるように設けられた堤防。一方の河川で増水があったとき、もう一方の河川への背水(逆流や堰上げ)による影響を小さくするために、互いの河川の水位に大きな差がある場合に設けられる。 導流堤河川の分流・合流地点、河口などに設置される堤防。流れと土砂の移動を望ましい方向に導くために設けられ、背割堤は導流堤の役割を兼ねていることが多い。 霞堤堤防が不連続となっており、上流側堤防の終端部の堤内側に平行して下流側堤防が始まる構造の堤防。堤防が折り重なる様子を霞に見立ててこの名がある。 『霞堤』という単語自体は、明治時代に常願寺川のある急流河川の不連続堤を形容して作られたものであった。単語が普及していくにつれて豊川の緩流河川にある鎧堤、羽衣堤と呼ばれていた不連続堤防も『霞堤』と呼ばれるようになった。 尻無堤集落や耕地を上流から水が流れてくるのを防ふせぐために上流側に設けられた堤防。その後、水が下流から入りこむことを防ぐために下流側に「懸廻堤(かけまわしてい)」といわれる堤防をつくるようになり、それらが輪のような形となり「輪中堤」となりました。 輪中堤集落や耕地の周囲をぐるりと囲うように設けられた堤防。堤に囲まれた部分は輪中とよばれる。木曽川、長良川、揖斐川の合流する濃尾平野につくられたものが有名。三重県桑名市長島町などに見られる。 山付堤山の尾根など、地形の高まりに接続するように造られた堤防。河川から氾濫した水が、山や台地内にある低地(開析谷など)に入って起きる内水氾濫を防ぐため設けられている。
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