基礎力学の確立と流体力学の誕生
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「水理学」の記事における「基礎力学の確立と流体力学の誕生」の解説
17世紀になると、ルネサンスがヨーロッパ各国に波及し、水理学もまた大きな飛躍をみせることとなる。 この時代において特に重要なことは、古典力学と、微分積分学など数学の発展である。古典力学はニュートン力学とも呼ばれ、その名の通りアイザック・ニュートンが確立した力学で、特にニュートンの法則は、後の流体力学を含む古典力学の基礎となった。さらに、ルネ・デカルトによる直交座標の導入、ゴットフリート・ライプニッツによる微分積分学の確立、その他ヤコブ・ベルヌーイ、ヨハン・ベルヌーイ、レオンハルト・オイラーによる数学の発展も、流体力学の誕生に大きく貢献した。 このような基礎的な学問の発展と同時に、この時代は水理学的には様々な発見・開発が行われた。ブレーズ・パスカルは、パスカルの原理を発見し静水力学の発展に貢献した。ロバート・フックはスクリューを発明し、クリスティアーン・ホイヘンスは遠心力や光学について研究し実験機器の改善に大きな役割を果たした。また、ニュートンは古典力学とは別にニュートン流体について研究し、その基礎を築いた。 18世紀には、レオンハルト・オイラーとダニエル・ベルヌーイによって流体力学が定式化され確立した。特に、ベルヌーイの定理と呼ばれる流体のエネルギー保存則を定式化して完全流体の基礎となった。この定理は、ダニエルが考案しオイラーが式にしたといわれている。 1738年にダニエル・ベルヌーイは『Hydrodynamica』(英: Hydrodynamics、日: 水力学)を出版した。その後1742年にダニエルの父親であるヨハン・ベルヌーイも『Hydraulica』(英: Hydraulics、日: 水理学)を出版したが、その際自分の優位性を示そうと出版日を1732年と10年早く出版したように偽った。しかし、内容的にはダニエルの『Hydrodynamica』の方が優れており、このようなダニエルの行動が「水力学・流体力学が水理学より学問的に上位である」と言われてしまう原因の1つであるといわれている。 また、ダニエルやオイラー以外にもフランス学派では ジャン・ル・ロン・ダランベール 流体中の物体にかかる抵抗の研究を行いダランベールのパラドックスを発見した。 ジョゼフ=ルイ・ラグランジュ ポテンシャル流について理論研究を行った。 ピエール=シモン・ラプラス ラプラス方程式などで完全流体に関する研究を行った。 といった学者により研究がなされた。 このように、この時代は基礎的な力学や数学の確立・発展とそれに伴う流体力学の誕生があったが、このときの流体力学は、ほとんどが完全流体に関するものであって、数学的に華麗な展開をみせるも実際の現場に応用されることはなかった。
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