地域的不均衡
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/10 04:59 UTC 版)
マスメディアは世界のほぼすべての国に存在するが、普及率は地域的に大きく差があり、アメリカやヨーロッパ諸国、日本といった先進諸国では普及率が高く、発展途上国ではあまり普及が進んでいなかった。しかし、発展途上国の経済成長によってその差は縮小しつつある。一例として、2000年ごろから経済成長の続くアジア、なかでもインドや中国で新聞販売数が増加し、2007年には新聞の発行部数の1位が中国、2位がインドとなった。 マスメディアの量的不均衡こそ縮小しつつあるものの、より大きな問題としては情報の流れの不均衡がある。世界のニュースの流れはアメリカのAP通信やイギリスのロイター、フランスのAFP通信といった巨大な国際通信社が握っており、アメリカやヨーロッパからの一方的な情報発信は発展途上国側から非難されてきた。セネガル出身のユネスコ事務総長だったアマドゥ・マハタール・ムボウは1970年代後半に「新世界情報秩序」を提唱してこの状況の是正を訴え、途上国から強い支持を得たものの、この議論の中で東側諸国がジャーナリストの認可制の導入を提唱したこともあって、先進国からは報道の自由を制限するものだとして強い反対の声が上がった。そしてこれを一番の原因として1984年にはアメリカが、次いで1985年にはイギリスおよびシンガポールがユネスコから脱退し、新世界情報秩序はほとんど実績を上げることができないまま立ち消えとなって、南北の情報格差は温存されたままとなった。
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