地図としての特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 15:30 UTC 版)
「大日本沿海輿地全図」の記事における「地図としての特徴」の解説
測量結果を基に、江戸で伊能らが作図作業を行った。すべて手書きの彩色地図で、利用上の便宜のため以下の3種類の縮尺の地図が作製された。 大図 1里=3寸6分(縮尺1/36,000、全214枚) 最も詳細に描かれた地図。北は宗谷岬、南は屋久島、東は国後島、西は五島列島までの海岸線および内陸河川の形状をつぶさに描く。その他、地図内には国郡名、境界線、領主名、村落、寺社名、河川名、磯・浜の種類、田畑、塩田なども記入し、海岸線のみならず、詳細な地図情報が記載されている。なお、大図には緯線・経線は記入されていない。 中図 1里=6分(縮尺1/216,000、全8枚) 縮尺の都合上、大図と較べて地名などの記載内容は若干簡略化されているが、代わりに緯線・経線が引かれている。京都西三条改暦所を通る子午線を本初子午線として経度の基準とし、実測値を元に経度・緯度1度ごとに直交する度線を引いてある(西洋のサンソン図法に近いとされるが異説もある)。ただし、伊能は地球を球体として考えていた(実際には地球は完全な球ではなく赤道方向に長い回転楕円体(扁球)に近い)ため、緯度・経度ともに若干の誤差が生じている。また緯度については天体観測からほぼ正確に測定できているものの、経度については測定に必要なクロノメーターの未発達などの理由により若干精度が劣り、北海道や九州南部などの辺縁部では実際の位置よりもやや東方向にずれている。 小図 1里=3分(縮尺1/432,000、全3枚) 利用しやすさを求め、中図よりさらに半分の縮尺で製図し、全国を3枚に収めた図。地名その他の記載は簡略化してある。
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