問答の導入
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/04 14:09 UTC 版)
「テアイテトス (対話篇)」の記事における「問答の導入」の解説
ソクラテスは、テアイテトスがテオドロスから幾何学・天文・音律・算術などを学んでいることを確認した上で、「知識(エピステーメー)」とは何であるか問う。 テアイテトスは、幾何学や、様々な職人たちの技術に関する心得なども、それぞれに知識であると答える。ソクラテスは、そうした「○○についての知識」「○○が使う知識」といった類の具体例を列挙していくような(「外延」的な)答えを求めているのではなく、「知識」そのものが何であるかについての(「内包」的な規定・定義としての)答えを求めているのだと述べる。例えば、「泥土」が何であるかと問われて、「陶師(すえものし)が使う泥土」「竈師(かまどし)が使う泥土」「瓦師(かわらし)が使う泥土」・・・などがそれであると答えるのではなく、「土と水が混ざったもの」と答えてほしいと。 テアイテトスは理解し、最近友人である少年ソクラテス(参照 :『政治家』)と数学・幾何学の議論をした時にも、同類の話が出てきたと言う。それは「平方根」(二乗根)についての議論で、「3・5・6・7・・・といった面積を持つ正方形」の「一辺の長さ」は、自然数には収まらないが、こうした例は無限に出すことができてしまうので、もっと端的な表現方法を考え、まず「4・9・16・・・といった自然数の2乗(平方)として表現できる数」を「正方形数(等辺数)」と名付け、次に「それ以外」(すなわち、先の3・5・6・7・・・)を「長方形数(不等辺数)」と名付けた上で、「長方形数(不等辺数)を面積とする正方形の一辺の長さ」として、それを表現することにしたと言う。また、同様のことは立方体(すなわち「立方根」(三乗根))についても言えると述べる。 ソクラテスはテアイテトスを賞讃するが、テアイテトスはしかし、「知識」に関してはこのようにできそうもないと答える。ソクラテスは、「知識」が何であるかを見つけ出すのは、頂上の頂上を極める人の仕事と言えるほど困難なものであることを指摘しつつ、それを言論として把握するために粘り強くあらゆる努力を尽くして行くことを勧奨する。テアイテトスも、懸命に努力するだけはすると応じる。
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