呼称についての問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/03 17:36 UTC 版)
アメリカ人のベンジャミン・フランクリンは、西洋音楽においてはそもそもイタリア語が公用語であって、楽器名もイタリア語で名づけられるのが常であったことを踏襲し、この楽器がガラスの共鳴によることから、「共鳴」を意味するイタリア語“armonia”(アルモニア)に由来して、“armonica” (アルモニカ)と命名した。しかしながら、この楽器の初披露の後、オーストリアやドイツではドイツ語風に“h”を添えられ、“harmonica” (ハルモーニカ)として広まってしまった。 英語圏ではその後、“armonica”や“harmonica”(ハーモニカ)以外に“glass armonica”(グラス・アルモニカ)、“glass harmonica”(グラス・ハーモニカ)ほか、様々な呼称が用いられているが、現在では“glass armonica”の呼称が多く支持されている。しかしながら、フランクリンの命名による本来の呼称は、あくまでも“armonica”(アルモニカ)である。 1820年頃に発明された別の新しい楽器ハーモニカと誤解を防ぐため特に、例えば英語圏では、素材名を添えた“glass armonica”や“glass harmonica”という呼称が便利である点は否めない。2単語が英語である“glass harmonica”は本来の呼称から離れてしまうという問題点があるが、その反面で本来の呼称をより尊重した“glass armonica”という呼称でさえ、英語とイタリア語の単語が混合されている不自然さがいささか問題を持っている。 由来となったイタリア語の本国においては、ハーモニカを“armonica a bocca”(アルモニカ・ア・ボッカ=口によるアルモニカ)と呼んでおり、本楽器は“armonica a bicchieri”(アルモニカ・ア・ビッキエーリ=グラスによるアルモニカ)と呼び分けられている。 日本語圏においては、「アルモニカ」、「グラス・アルモニカ」(「グラスアルモニカ」)、「グラス・ハーモニカ」(「グラスハーモニカ」)などの呼称が見られるが、リードによる楽器のほうは「ハーモニカ」の呼称が定着しているため、本楽器を「アルモニカ」と呼ぶことで混同の恐れはほとんどない。そのため、「アルモニカ」、次いで「グラス・アルモニカ」と呼ぶのが望ましい。小塚三喜夫と尾西秀勝も、この楽器のことを資料では「アルモニカ」と呼称している。 なお、ゴブレットを複数並べて水で調律して奏する様式のものは「グラス・ハープ」と呼ばれているため、混同しないように気をつける必要がある。
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