周期で見た地震動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/16 08:24 UTC 版)
周期別に、地震動は6つに分けられる。 周期が長いほど減衰しにくく、長距離を長時間伝わる。また、地震動を伝える地盤が固いほど、周期が短い地震動を伝えやすい。周期と被害の関係については、1980年代ごろから地震計の精度が向上したことを受けて、解明が進んだ。現在も研究が進み、防災の面から新たな発見も期待されている分野である。 建築物はその建材の剛性と高さによる固有の共振周波数を持ち、地震動の周期と共振して大きな被害をもたらすことがある。到達した地震動にどの周波数が卓越しているかによって共振を受ける建造物の被害には差異が生じることになるが、大きな人的被害をもたらした地震動が発生した場合、その際に卓越した周波数を俗にキラーパルス(killer pulse)と呼んでいる。一般には剛性が高く低層の建築物ほど共振周波数は高く、高周波の多い直下型の地震で大きな被害を受けやすい。逆に剛性が低く高層の建築物ほど共振周波数が低くなり、長い時間の長周期の地震動で被害を受けやすくなる。この長周期の地震動は減衰しにくく遠方まで到達し、規模の大きな地震に多く含まれるが、近年スロースリップと呼ばれる現象でも発生することが明らかになっている。 人に対して最大の影響を与える周波数は、椅子に座った状態で鉛直成分が4~8Hz, 水平成分が1~2Hzで、55dBより有感となる。立っている状態ではより長周期に、寝ている状態ではより短周期の揺れを感じやすくなる。 極短周期地震動 周期0.5秒以下の地震動。屋内の家具や物などが最も揺れやすい周期。計測震度計の感度が最も強いのがこの地震動であるため、震度と被害や体感震度との間のずれを生む原因とされている。 短周期地震動 周期0.5〜1秒の地震動。やや短周期地震動も含めることがある。 稍(やや)短周期地震動 周期1秒〜2秒の地震動。木造家屋、非木造の中低層建築物が最も揺れやすい地震動。兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)では直下でこの地震動が卓越し、甚大な被害をもたらした。 稍(やや)長周期地震動 周期2〜5秒の地震動。巨大なタンクや鉄塔など、中規模中層建築が最も揺れやすい地震動。 長周期地震動 詳細は「長周期地震動」を参照 周期5秒以上の地震動。やや長周期地震動も含めることがある。高層建築物や超高層建築物が最も揺れやすい地震動。周期が短いものに比べて、建物などが揺れる幅が大きく、重いものが建物の揺れにあわせて高速で移動し人や物を傷つけるといったことが起きる。 超長周期地震動 周期数百秒以上の地震動。地球全体が最も揺れやすい地震動。
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