同人誌市場と著作権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 16:52 UTC 版)
現行の日本の著作権法では、フランス知的保有権法典第122条の5第4項のいわゆる“パロディ条項”のようなパロディを正面から認める法理が存在せず、原作の著作権者の許諾を得ることなく二次創作物を不特定多数への販売することは、原則として著作権侵害となる。 現状としてはファン活動の一環といった扱いを受けた、版権を持つ企業などからの黙認というグレーゾーンで、二次創作同人誌の頒布は成り立っている。一方で過去には「ときめきメモリアル」(コナミ)のように黙認と思われていたものの、実際には法的手段の行使に至ったケース(ときめきメモリアル・アダルトアニメ映画化事件)もある。 1999年(平成11年)にはポケモンのパロディ同人誌を発行した作者が著作権の侵害により逮捕されるポケモン同人誌事件が起こった。 2006年(平成18年)にはドラえもんの最終話を称する同人誌を販売していた男性が著作権侵害として警告されるドラえもん最終話同人誌問題が起こった なお、企業、同人作家問わず、パロディなどとは異なり、著作権法で容認されている批評などのための引用についても、著作権者の許可が必要という認識は強い。しかし、漫画の引用については小林よしのりと上杉聰らの間で争われた「『脱ゴー宣』裁判」で絵の引用が争点となったが、2002年(平成14年)4月26日に「絵の引用は合法」とする最高裁判決が出ている(ただし、「レイアウトの改変は違法」とされた。詳細は脱ゴーマニズム宣言事件を参照)。この判決は、コミックマーケットがシンポジウムで取り上げるなど、同人誌にもある程度の影響を及ぼした。 また、2014年(平成26年)にはブロッコリーが無許可で同人グッズを製作・販売しているサークルに警告を出したり、ニトロプラスが二次創作についてのガイドラインを改定し頒布個数や売り上げに制限を盛り込んだ(後日見直され同人誌は範疇から外されている)ことで論議を呼んだ。このような行動が起きた背景として、同人グッズを作っているサークルの中には、ファン活動の域を超えた営利目的のものが増えているという認識であり、一定の線引きが必要と言う意図がある。こうした同人の範疇を超えたグッズの製作・頒布については、著作権者からは公式商品と混同される海賊版であると見なすことができるため、同人誌即売会主催者側からも注意喚起が出されており、特にコミックマーケットでは同年末の87のコミケットアピールにおいて、共同代表からの挨拶で注意がなされ、著作権に関する注意の記述についてもより明確に記載されている。
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