各種工法の開発・適用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 00:50 UTC 版)
「オールステンレス車両」の記事における「各種工法の開発・適用」の解説
1990年代以降、鉄道車両メーカー各社でさまざまな工法のオールステンレス製車両が作られるようになった。川崎重工業はJR東日本209系電車で新しく開発されたシート貼り合わせ工法(2シート工法)を採用した。また、日本車輌製造は日車式ブロック工法(日車式SUSブロック構体)を採用している。 更に、構体へのレーザー溶接の採用の検討が、1996年より当時の東急車輛製造、JR東日本、新日本製鐵の3社の共同研究により開始され、2002年に世界で初めてレーザー溶接を採用したステンレス車両として試験車であるJR東日本E993系電車のモハE993-1号車が製造された。量産車両としては、2005年に近畿車輛が製造開始したJR西日本321系電車や、2006年に製造開始したJR東日本E721系電車(川崎重工業製造分)で初めてレーザー溶接が側構体の一部に採り入れられている。この工法は一定の工作精度と設備を要するが、連続溶接による車体剛性の向上に加え、スポット溶接と比較して溶接後のひずみが目立ちにくいという大きなメリットがあり、その後徐々に適用例が増えている。2010年には東急車輛製造が横浜新都市交通2000形電車の側構体にレーザーによる連続スポット溶接を本格採用し、2012年には事業用車の東急7500系電車においてレーザー突き合せ溶接と水密用レーザー連続溶接が適用された 。その後、総合車両製作所となってからは、レーザー溶接を利用したステンレス車体であるサスティナ(sustina)にて本格採用を開始、日本国内向け第1号車両として東急5050系の付随車となるサハ5576号が編成中に組み込まれたほか、首都圏で運用されるJR東日本E235系電車、フルフラット構造量産車両として京王5000系電車 (2代)が製造された。また、川崎重工業では連続溶接を利用したステンレス車体であるefACEの採用を開始、日本国内向けステンレス車第1号車両としてJR西日本225系電車、第2号としてJR北海道733系電車が製造された。 これらの工法で組み立てられた車両の外板にはコルゲートやビードが無いものがほとんどである。いずれも加工に手間とコストがかかるため、見た目の向上とコストダウンの観点からあえて平面のままの外板としている。このため、強度を確保しひずみを目立たなくするために外板の板厚を増やしている場合が多く、一般にビード外板の車両よりも重量増の傾向となる。
※この「各種工法の開発・適用」の解説は、「オールステンレス車両」の解説の一部です。
「各種工法の開発・適用」を含む「オールステンレス車両」の記事については、「オールステンレス車両」の概要を参照ください。
- 各種工法の開発適用のページへのリンク