各楽章の特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/18 15:16 UTC 版)
「交響曲第1番 (スクリャービン)」の記事における「各楽章の特徴」の解説
6楽章構成は、古典的な4楽章の交響曲から派生したのかもしれないが、冒頭楽章の緩やかな導入部だけでなく、最終楽章の終結部分(ベートーヴェンの《第9交響曲》を雛型とした賛歌による幕切れ)もまた、独立した楽章として切り離すことができる。いくつかの楽章で主題同士が互いに関連付けられている。たとえば終楽章の導入部は、開始楽章の結末に結び付いている。 1. Lento (レント)ホ長調 瞑想的かつ抒情的な基調は、先行する管弦楽曲《夢》作品24を思い起こさせる。支配的な主題は3つあり、全音階的な第1主題、半音階的な第2主題、五音音階による第3主題である。 2. Allegro dramatico (アレグロ・ドラマティコ)ホ短調 ソナタ形式による楽章である。第1主題は、短く跳ねるような動機要素によって形成され、その後にカンタービレの後楽節が続く。 3. Lento (レント)ロ長調 続いてABA形式の楽章が来る。リヒャルト・ワーグナーを連想させるトリスタン和声が繰り広げられる。 4. Vivace (ヴィヴァーチェ)ハ長調 トリオ付きのスケルツォとして構想され、ピッコロやグロッケンシュピール、ヴァイオリン独奏によって魅力的な楽器法が打ち出される。 5. Allegro (アレグロ)ホ短調 再びソナタ形式の楽章が続き、器楽曲の終曲としての役割を果たす。 6. Andante (アンダンテ)ホ長調 終楽章は、芸術の卓越性にささげる凱歌である(すべてにまさる芸術の力は、スクリャービンの諸作に共通する主題である)。器楽のみの導入部の後で2人の声楽家が、スクリャービン自身が作詞した6連の『芸術賛歌』のうち、最初の2連を歌う。メゾソプラノの歌い出しは、「おお、神と崇高なる芸術と調和の至高の象徴よ、そなたの前にわれわれは捧げものとして賛辞を送る」である。最後に合唱となる部分を、力強いフーガが占める。メゾソプラノとテノールの二重唱の後で、合唱は「地上の全能の支配者よ、そなたは人を揺り動かして栄えある行いをせしむる。万人よ来たれ、芸術の許に。われら芸術賛歌を歌わん」と歌う 。
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