司法の不平等
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 18:44 UTC 版)
また当時のアメリカでは黒人が被害者となった事件で加害者への量刑が軽くなる事件が相次ぎ、人種をめぐる司法の不平等が存在するとして黒人社会で不満が高まっていた。その代表例の一つに挙げられるのが、ロドニー・キング事件が起きた直後の1991年3月16日、当時15歳の黒人少女ラターシャ・ハーリンズが射殺された事件である。 これはロサンゼルス市内の雑貨・食料品店を訪れたハーリンズが、商品をバッグに入れたところを店主が見とがめ、2人の間で激しい言い争いとなったすえ、店主側がハーリンズに発砲して死亡させたという事件である。 韓国系移民の店主は逮捕され、検察は故殺の容疑で起訴した。事件から半年後に陪審団は有罪の評決を下したが、11月15日、判事は、この店で黒人の未成年者らによる万引きがたびたび発生していたことや、店が黒人暴力団による執拗な脅迫に悩まされていたことなどを理由にこれを覆し、店主の正当防衛を認めた上で執行猶予がつく「第3級謀殺」(日本法の過失致死に相当)へと大幅に減刑した。 大規模な暴動や抗議活動はロドニー・キング事件の無罪評決が出るまで起きていないため、ロサンゼルス暴動との直接の関係は現在では否定されている。しかし事件のきっかけとなった商品がわずか2ドル足らず(約200円)のジュース瓶だったことなどから、黒人がわずかな罪の容疑で射殺され、さらに加害者への量刑も不当に軽くなる傾向がアメリカの黒人社会で改めて認識されることとなり、司法の不平等に対する不満が高まる遠因になったとも言われる。 のちにハーリンズの遺族は民事事件として店主を提訴し、店主側が30万ドル(約3000万円)の慰謝料を支払うことで和解している。
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