古都税とは
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/20 23:46 UTC 版)
都道府県や市区町村は、公共サービスへの対価として住民から税金を徴収する。「地方税法」は、地方自治体が住民から徴収できる租税のかたち(税目)を定めているが、同法は自治体が独自の税目を創設できる旨も規定している。古都税は京都市が作った条例に基づく。 1956年(昭和31年)、京都市で文化観光税(正式には文化観光施設税。通称は文観税)が実施された。岡崎の京都会館は、この文観税の賜物である。7.5年の時限立法であったため、1964年(昭和49年)に、京都市は再び同様の条例を5年の時限立法で創設した。この際に、条例反対の意見があったため、当時の高山義三市長は「今後同種の税を新設や延長することはない」という『覚書』を、反対する寺社と交わしている。 古都税を創設した1985年(昭和60年)、当時の京都市長であった今川正彦は、同税は住民に対する税金ではなく、京都市内の寺社建物へ支払う拝観料へ課税し、文化財を保護する市への協力を拝観者へ依頼するものと、京都市会へ説明している。実施してから向こう10年間、対象寺社の拝観者は窓口で大人50円、小人30円を拝観料に上乗せして支払う。対象寺社は特別徴収義務者として、京都市へ納める特別徴収である。 これに対して、自治体の財政収入を「市外からの来訪者」へ負担してもらうのは「応益の原則」に反しているのではないかとの意見もあった。拝観は宗教行為であるとする観点から、拝観料への課税は信教の自由を保障した日本国憲法に違反するのではないかとする意見もあった。今川市長が古都税を入れた動機には、かつて京都市が古都税以前にも同様の観光税を実施していた例があるとされる。 古都税の創設時の対象寺社は、以下の通りである(条例のままに朝日新聞[要文献特定詳細情報]がつけた番号を附す)。 青蓮院 知恩院 清水寺 妙法院 泉涌寺 東福寺 三千院 寂光院 曼殊院 詩仙堂 慈照寺 禅林寺 蓮華寺 南禅寺 金地院 天竜寺 常寂光寺 二尊院 大覚寺 広隆寺 高山寺 竜安寺 鹿苑寺 随心院 勧修寺 教王護国寺 醍醐寺 仁和寺 念仏寺 神護寺 退蔵院 大仙院 瑞峯院 高桐院 龍源院 芳春院 平安神宮 城南宮 二条城 無隣庵
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