古刀の偽銘
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/28 15:34 UTC 版)
室町期以降の古刀を含む新刀、新々刀を鎌倉期の刀に見せかけたもの等は地鉄、姿から看破できる。ましてや現代刀工による鎌倉期の写しが国宝に指定されているなどというまことしやかな噂は荒唐無稽である。大磨上無銘であろうとも、古刀の場合は地鉄の特徴、匂い口が決定的に異なる。例えば新刀最上作である堀川国広が相州鍛冶の作を写しているが、鎌倉期の地鉄、匂い口と、慶長元和期の綺麗な新刀地鉄とでは時代の差が歴然としている。また鎬地が柾がかり、帽子は新刀の小丸となり、正真作と比べれば一目瞭然である。 古刀間、古刀-新刀間で偽銘が行われやすい刀工、流派を数種挙げておく。基本的に技術関係が深い(移住、修業、子孫等)一派の間で行われやすい。美濃物については、鎬地柾がかり、沸出来となるため、新刀からの化かしが多い。また、新刀、新々刀期を通して、志津写しが人気だったため、大磨上のものにはよくよく注意が必要である。新刀からの贋作については、鎬地の鍛え目、帽子の焼き具合の2点を注視すれば看破するきっかけになる。 一文字一派-(新刀)石堂一派 応永、末備前諸工-豊後高田一派(平、藤原)、宇多一派、(新刀)備前横山一派 来一派-九州延寿一派、加州藤島一派、(新刀)肥前刀、美濃伝の一部刀工(短刀に限定される) 京物古作-越前千代鶴一派、美濃伝の一部刀工(短刀に限定される) 大和物-備後三原一派、宇多一派、宝寿一派、波平一派、(新刀)国包、(新刀)南紀重国 相州物-下原一派、下野徳次郎一派、(新刀)水田国重、(新刀)出羽大掾国路、(新刀)越中守正俊、(新刀)南紀重国 美濃物(特に志津等上作)-(新刀)出羽大掾国路、(新刀)越中守正俊、(新刀)他、三品一派等の志津写しの作
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