原型砲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/11 07:26 UTC 版)
搭載火砲は、日本海軍が戦争中期に開発した艦載砲である短十二糎砲を車載用に改造して、新砲塔に装備している。原型砲である短十二糎砲は商船(特設艦船)の自衛用に開発された簡易急造高角砲である。諸元は、口径120 mm、砲身長1510 mm、砲腔長1440 mm、砲初速290 m/s、最大退却長(後退長)270 mm、砲身重量218 kg、弾種は一号通常弾(弾量13,000 g、炸薬量2515 g)を使用した。 原型砲は大仰角を取ることが可能で、対空戦闘も行えるため高角砲に分類されているが、実質は対潜を主とし、対潜・対水上・対空兼用の、迫撃砲に似た特性をもつ。弾薬包は半固定式(砲弾と薬莢が分離可能)の薬莢型式である。砲は12口径の短砲身であり、最大射程、砲口初速とも旧式榴弾砲(三八式十二糎榴弾砲)とほぼ同等の性能である。しかし反面、腔圧が低いので、砲身の肉厚を薄くでき、砲各部の強度も低くていいので、口径のわりに砲重量を軽くできる利点がある。原型砲の駐退機は砲身の上方に一本、復座機は砲身の下方に一本である。原型砲の最大射程は5,300 mだが、転用した砲は砲塔形式で高仰角はとれないため射程は制限された。なお原型砲には徹甲弾は用意されていない。本砲の通常弾(榴弾)は弾殻が薄くその分炸薬を多くしていた。平射もできるが、装甲貫徹力は小さく、弾道低伸性は良くない。
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