南伝仏教美術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/15 18:17 UTC 版)
南伝仏教は、インドから、スリランカ・ミャンマー(ビルマ)・タイ・ラオス・カンボジアなどに伝わった。12世紀以前にインドシナ半島へ南伝した仏教は大乗仏教、とりわけ密教であった。また、12世紀までの東南アジアにおける仏教は、ヒンドゥー教や在地の信仰に対して絶対的優位に立つことはなく、それゆえ仏教美術は常に他の宗教美術と融合したものであった。13世紀に至り、東南アジア全体へと上座部仏教の普及が本格化すると、密教や菩薩信仰に基づく美術に代わって釈迦像を中心とした芸術が作られるようになった。21世紀初頭においては、これらの地域のほとんどが上座部仏教圏となっている。この地域に共通して見られる仏教美術としては、貝葉経とその経櫃がある。 上座部仏教は、釈迦入滅から約100年後、教義の違いから大乗仏教が分離することにより、生まれた。大乗仏教との違いとして、 パーリ語による三蔵とその注釈書による大蔵経を備える。 釈迦像のみを拝し、菩薩などを認めない。 出家者と在家の立場が明確に異なる。前者は世俗の労働をせず、後者は前者を布施で支える。 等が挙げられる。そのうち、仏教美術として形に現れるのは、主に2.である。 11世紀以降、イスラームが海域東南アジアに広がり、21世紀初頭における マレーシア・インドネシア・南フィリピンに至るまで、ほとんどの島嶼に浸透したが 、大陸域においては、上座部仏教が定着している。
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