半導体原料の輸出管理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 01:44 UTC 版)
「日韓貿易紛争」の記事における「半導体原料の輸出管理」の解説
2019年7月1日に日本の経済産業省は、韓国向けに輸出される軍事転用可能な一部の半導体関連物品について、企業ごとに一定期間包括的に許可する方式から、契約ごとに個別審査する方式へ切り替えると発表した。品目は、半導体の基板に塗る感光材の「レジスト」、半導体の洗浄に使う「フッ化水素」、ディスプレイパネルの素材となる「フッ素化ポリイミド」の3品目が指定された。通常ならば個別輸出許可の手続きには90日程度かかり、これは半導体製品の輸出が経済を支える韓国にとって、日本からの円滑な資材調達が困難になることを意味した。特に上記3品目は日本企業のシェアが大きく、韓国企業に少なくない影響が見込まれた。 日本政府はこの措置について、あくまで日本国内における制度運用の問題であり、韓国と協議する理由は無いとの立場を示した。また、世耕経産相は、この措置は「(徴用工問題への)対抗措置ではない」としつつ「韓国との信頼関係が損なわれ、輸出管理に取り組むことが困難になった」と一定の因果関係は認めた。そして8月8日に、規制後初めて3品目の一部について、審査により軍事転用の恐れなしとして輸出許可を出し、「正当な取引については恣意的な運用をせず許可を出している」と説明した。 韓国にとって7月1日の日本の発表は、文大統領も出席したG20大阪サミットの直後だったため、寝耳に水に近いものだった。韓国は日本の措置を、徴用工問題への報復として日本から仕掛けてきた経済戦争と捉え、日本に協議と撤回を求めた。7月3日に韓国政府は、半導体材料や装置の国産化支援に毎年1兆ウォンの予算を充てる構想を発表した。そして7月24日に世界貿易機関(WTO)の一般理事会でこの問題を提起し、日本の措置は徴用工問題への報復という外交的な下心によるもので、WTOの存在意義を損ね世界経済に混乱をもたらすと訴え、9月11日付で正式にWTOへ日本を提訴した。ARFやRCEPの会合においても日本の措置を非難した。
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