午後3:00
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/12 14:11 UTC 版)
「サン・ビセンテ岬の海戦」の記事における「午後3:00」の解説
午後3時頃の時点で、「エクセレント」は「キャプテン」を攻撃していた「サン・ニコラス」に取り付いて、そのフォアトップマストを打ち倒していた。「エクセレント」は「サン・ニコラス」に舷側砲火を浴びせ、帆装をすっかり取り払った。「サン・ニコラス」が「エクセレント」から退避しようと風上に切り上ったため、その時点で既にミズンマストを打ち倒されるなど甚大な被害を受けていた「サン・ホセ」に衝突してしまった。「キャプテン」はそれまでに舵輪を撃ち壊され、ほとんど制御不能となっていたが、さらにこのときフォアトップマストが倒れ、完全に船体を離れて横に落下した。もはやスペイン艦に乗り込み攻撃をかける以外に何も出来ない状態だった。「キャプテン」はその風下(左)舷の砲を発射し、舵をその方向に切ると、左舷の吊錨架で「サン・ニコラス」の右舷艦尾を引っかけた。 ネルソンは海兵隊員と水兵からなる斬り込み隊を率いて「サン・ニコラス」の艦尾から乗り込んだ。ネルソンらは「サン・ニコラス」を制圧すると、「キャプテン」のミラー艦長に追加の兵を乗り込ませるよう命じ、自らは斬り込み隊とともに、「サン・ニコラス」を横切って、衝突している「サン・ホセ」に乗り込んでいった。彼らが錨索の孔から「サン・ホセ」に乗艦すると、艦尾甲板にいたスペイン士官は剣を差し出して降伏した。 2隻のスペイン艦は両方とも捕獲された。1隻の敵艦をもう1隻の敵艦への経路に利用するというこの意表をつく戦法は海軍内で大いに評判となり、冗談交じりで「ネルソン特許の敵艦乗り込み橋("Nelson's patent bridge for boarding enemy vessels")」と呼ばれた。 「サンティシマ・トリニダー」が降伏のために旗を降ろそうとしたところへ、前日に司令官によって派出されたため、戦闘中はコルドバのグループから切り離されていた「インファンテ・ペラヨ」と「サン・パブロ」がイギリス艦「ダイアデム」と「エクセレント」の間に割って入ってきた。「ペラヨ」のカエタノ・バルデス艦長は「サンティシマ」に、「敵艦とみなして掃射する」と脅迫することによって再度スペインの旗を揚げさせた。それにより「サンティシマ」は捕獲を免れた。 4時までには、スペインの旗艦「サンティシマ・トリニダー」は2隻に護衛されて戦場から離脱した。モレノ提督の戦隊はコルドバ戦隊の生き残りをまとめて、打ち破られたスペイン艦を救出しつつあった。ジャーヴィスは捕獲した艦と行動不能の艦を援護するよう艦隊に信号した。そして4時15分、フリゲートに捕獲艦を曳航するよう命令が出された。4時39分、艦隊は「ヴィクトリー」を先頭に縦陣を作るよう命令された。戦いはすでにほとんど終息し、「ブリタニア」および「オライオン」と、守られつつ離脱してゆく「サンティシマ・トリニダー」の間で小競り合いがある程度となっていた。
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