医療の抱える問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/04 06:45 UTC 版)
医療分野としても進展は目覚ましく、その進展の象徴としてどれだけの低出生体重、早期産児で障害の少ない生存が可能であるかが話題とされる。現在では在胎22週、出生体重400グラム以下の患者でも軽度の障害程度の存命が可能となっている。一方、いずれ人工中絶可能な20週の新生児まで生存可能となる時期が来る可能性があること、これまで流産として諦めていた患児のより早期産の児の救命を追求すれば強い障害のある状況での長期生存を社会のバックアップが少ない状況で増やしてしまうという矛盾を常に孕んでいる。また日本の法律では早期産児はそのまま誕生日で修学することになり早期産児が満期産で生まれた時期を仮定すると一年早く学校に早く行かなくてはならなくなり修学に支障を来す状況が問題視されている。 医療問題を鋭く提示する漫画「ブラックジャックによろしく」でも触れられた強い障害のある患者を助けるべきか諦めるべきかは常に大きな問題となっている。この作品では障害がダウン症であるが、実際にはこれより遙かに重い障害の患者が存在し、全く動かず意思疎通の出来ない疾患も多数存在する。これらの患者の治療方針を行政指導の判断基準の無いまま医療現場に究極の選択を迫る場面は多い。親が治療を望めば医師は強い治療をする選択肢を容易に選べるが、親に治療を拒絶される障害児が多数いるのも事実であり、積極的安楽死や全く治療をしないと選択肢を選んだ施設も嘗ては多く見られた。現在ではある程度の治療を与えてその中での死を見届けると言うのが一般的なコンセンサスである。しかしどの程度の治療をどの程度の障害児に行うかは全く医師や施設ごとの判断である。新生児の安楽死問題は問題が微妙すぎるのか、実態をマスコミにも殆ど触れられず、国家の指針の無いまま現場の医師が常に安楽死問題を念頭に置きながら後に自身が逮捕されるリスクを負いつつ判断している。早期の行政指導が求められる。
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