新生児の安楽死
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/03 19:23 UTC 版)
「ピーター・シンガー」の記事における「新生児の安楽死」の解説
人間だけを特別視する宗教的な考えを拒否すれば、重度脳障害または重度知的障害を持った人間を、同等の精神的知的レベルの動物と峻別することが困難になる、とシンガーは表明する。 シンガーによれば、胎児は一瞬一瞬の快楽と苦痛と経験を入れる受容体であり、成人は瞬間的な快不快だけでなく持続的に自己を意識する。意識能力を持った存在は「人格」と呼ばれ、胚や胎児までも含む人間という生物種とは区別される。一方で人間の胚、胎児、ごく初期の新生児の道徳的な地位はかなりの程度まで等しく、意識能力によって生命の価値は大きく異なるとシンガーは考える。シンガーは、胎児や新生児が将来的には人格を持つ潜在性があるため成人と等しい価値がある、という議論を否定する。性交の時期、避妊などの日常的な選択の全てが、個別の潜在的な人格が生じることを阻んでおり、胎児や新生児も「将来の人格」であり代替可能であるとシンガーは論ずる。 このことから、親が育児を望まず、養子の引き取り手もいない場合、障害をもった新生児の死を選択することが正当化できる場合があるとシンガーは論じる。
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