区間の位相環
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/12 01:54 UTC 版)
区間は両端点を座標とする平面上の点と対応付けることができ、したがって区間からなる集合を平面上の領域と対応付けることができる。一般に、区間を実数直線の直積集合 R × R に属する順序対 (x, y) と対応付けるとき、y > x はしばしば暗黙の仮定としてあるが、数学的構造を見る目的でこの制約は課さず、y − x < 0 なる「逆向き区間」("reversed intervals") も許すことにする。そうすると、区間 [x, y] 全体の成す集合は、R 同士の直和に成分ごとの和と積を入れた位相環と同一視できる。 この直和環 (R ⊕ R, +, ×) は二つのイデアル {[x, 0] | x ∈ R} および {[0, y] | y ∈ R} を持つ。この環の乗法単位元は退化区間 [1, 1] である。二つのイデアルに入らない区間 [x, y] 乗法逆元 [1/x, 1/y] を持つ。通常の位相のもと、この区間からなる代数系は位相環を成す。この環の単元群は各座標軸(これはいまこの環のイデアルとして与えられているのであった)で分けられる四つの四分象限からなる。単元群の単位成分(英語版)は第一象限である。 任意の区間は、その中点を中心とする対称区間と考えることができる。M Warmus が1956年に出版した再構成では、「均衡区間」("balanced interval") [x, −x] の軸を点に退化した区間 [x, x] の軸に沿って用いている。区間の環を、直和環 R ⊕ R ではなくて、分解型複素数平面に同一視したのは M. Warmus と D. H. Lehmer である。同一視は z = (x + y)/2 + j(x − y)/2 を通して得られる。この平面上の線型かつ環同型な写像は、平面上に乗法構造を与え、そこでは通常の複素数の算術にあるような極分解(英語版)などの類似物を考えることができるようになる。
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