ラガ語とは? わかりやすく解説

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ラガ語

(北部ラガ語 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/12/23 14:00 UTC 版)

ラガ語
Hano
話される国 バヌアツ
地域 ペンテコスト島英語版北部
民族 北部ラガ族
話者数 6千500人(2001年)[1]
言語系統
オーストロネシア語族
表記体系 ラテン文字
言語コード
ISO 639-1 なし
ISO 639-3 lml
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ラガ語(ラガご、Raga)とは主にバヌアツペンテコスト島英語版北部で話されている言語である。「ラガ」はペンテコスト島全体を指す言葉である[2]がその南部ではアプマ語英語版セケ語英語版サ語英語版といった異なる言語が話されており、本言語を指して北部ラガ語(ほくぶラガご、: North Raga)とする場合もある。現地ではHanoという呼称が好まれる[1]

音韻論

子音

下表の各マスで左側に表示されているのはIPAによる表記、右側に括弧つきで表されているものは文献で用いられる綴りである。

ラガ語の子音一覧[3]
両唇音 唇歯音 唇軟口蓋音 歯茎音 軟口蓋音 咽頭音
有声 ±V ±V 有声 無声 有声 無声 有声 ±V 無声
閉鎖音 (唇軟口蓋音化) /bʷ/ (bw) /b/ (b) /t/ (t) /d/ (d) /k/ (k) (前鼻音化) /ŋɡ/ ()
摩擦音 /v/ (v); (唇軟口蓋音化) /vʷ/ (vw) /s/ (s) /ɣ/ (g) /ħ/ (h)
鼻音 /m/ (m); (唇軟口蓋音化) /mʷ/ (mw) /n/ (n) /ŋ/ ()
ふるえ音 /r/ (r)
側面音 /l/ (l)
半母音 /w/ (w)

なお、nggngとも綴られる。

母音

形態論

代名詞

人称代名詞の一人称複数形には包括と除外の区別がある。人称代名詞には複数の区分が存在するが、その例としては所有代名詞や後述の様な時制と一体となった体系が挙げられる。

所有代名詞

人称代名詞と時制

時制の違いは人称代名詞で表す。ほぼ同様の特徴はエファテ島南部エファテ語等にも見られる[4]

中立時制(neutral tense) 過去時制 未来時制
一人称 単数 nam nan nav
複数 包括 tam tan tav
除外 gam gan gav
二人称 単数 gom gon gov
複数 gim gin giv
三人称 単数 mwa nu vi
複数 ram ran rav

この表のうち三人称単数形のものは不変化詞と見做し、他の代名詞は「語幹 + 不変化詞の形態音韻英語版的な具現化形である接尾辞」という構造であると捉えることが可能である[3]

統語論

語順

の語順は基本的にSVO型であり[5]名詞の後に指示代名詞が置かれる[6]

  • 例: Na-m doro boe kea.[3]
    グロス: 私-〈中立時制〉 欲する 豚 あの → 「私はあの豚が欲しい。」

脚注

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  1. ^ a b Lewis et al. (2015).
  2. ^ ラガ語における範疇詞(吉岡政徳研究所)より。2016年8月28日閲覧。
  3. ^ a b c ラガ語の言語学的分析(吉岡政徳研究室)より。2016年8月28日閲覧。
  4. ^ オースティン(2009:181)。
  5. ^ Crowley (2014:634).
  6. ^ Dryer (2013).

参考文献

関連書籍

  • Walsh, D. S. (1982). "Variation of Verb-Initial Consonants in Some Eastern Oceanic Languages". In Pacific Linguistics C-74, pp. 231–242.
  • Yoshioka, Masanori (1987). The Story of Raga: A Man's Ethnography of His Own Society (I): The Origin Myth.

外部リンク

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