ラキウラ国立公園とは? わかりやすく解説

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ラキウラ‐こくりつこうえん〔‐コクリツコウヱン〕【ラキウラ国立公園】


ラキウラ国立公園

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/30 04:48 UTC 版)

Rakiura National Park
ラキウラ・トラック英語版
地域 スチュアート島
最寄り オーバン
座標 南緯46度54分 東経168度7分 / 南緯46.900度 東経168.117度 / -46.900; 168.117座標: 南緯46度54分 東経168度7分 / 南緯46.900度 東経168.117度 / -46.900; 168.117
面積 1,570 km²
創立日 2002年
運営組織 ニュージーランド環境保全省

ラキウラ国立公園Rakiura National Park)は、ニュージーランドスチュアート島マオリ語でラキウラ)にある国立公園である。

概要

スチュアート島/ラキウラの衛星写真

スチュアート島の面積の約85パーセントを占める。2002年に開設された。ラキウラとは、マオリ語で「空が赤く燃える場所」という意味である[1][2]。由来は、冬季のオーロラと1年中を通してみることが可能な見事な夕焼けである[1]

国立公園内には、島の北部にあるスチュアート島の最高峰・アングレム山(標高980メートル)が含まれている。また、島の中部には、全長25キロメートルの河川であるフレッシュウォーター川英語版が流れ、その流域には湿地帯が広がる。島の西部は、衛星写真で見てもわかるとおり、メイソン湾と呼ばれる海に面している滑らかな海岸線であり、ここには砂浜が広がる。

また、国立公園には、スチュアート島に隣接するネイティヴ島、ウルヴァ島英語版、マッドフラット島、アンカレッジ島英語版等を含む。

歴史

考古学的調査によると、スチュアート島には、13世紀からマオリが居住していたと考えられている[2]

ヨーロッパ人が初めて、スチュアート島に到達したのは、1770年ジェームズ・クックの航海を待たなければならない[2]。しかし、クックは、スチュアート島と南島は陸続きであったと考えていた[2]。クックの本国への報告書には、アザラシや鯨の宝庫であると伝えた[2]1818年、スチュアート島の周りにある小島のコッドフィッシュ島英語版にヨーロッパ人が定住を開始した[2]

ヨーロッパ人の活動は、1826年に造船所の建設が開始された。この年は、スチュアート島での採鉱、漁業が本格化する年となった[2]。1864年には、スチュアート島のマオリから10,000ヘクタールの土地を買収するなど、スチュアート島の開発は本格化したが、徐々に、島の開発の中心はオーバンとなった。例えば、フレッシュウォーター川河口の地区であるパターソン・インレット英語版には、1872年に建設された郵便局は、1923年に閉鎖された。また、スチュアート島に建設された主要農場の1つは、島西部のメイソン・ベイに建設されたが、こちらもまた、閉鎖された[2]

生態系

植物相

ラキウラ国立公園の植生の中心は、マキ科の植物である[2]リムノキ英語版ポドカルプス・ダクリディオイデス英語版マオリ語:Kahikatea)、トタラ英語版が中心である[2]

フレッシュウォーター川の湿地帯にも数多くの植物が確認されている。マキ科の森林が生い茂り、その下には、灌木のマヌカが展開する[2]。この湿地帯は、野鳥の生息地となっている[2]

動物相

コッドフィッシュ島で飼育されているフクロウオウム(カカポ)の幼鳥

ラキウラ国立公園では、野鳥の楽園である。キーウィ英語版の亜種で、昼間にも出没するスチュアートアイランドキーウィ英語版の一大生息地であり、その数は、約2万羽である[3]。また、ラキウラ国立公園は、フクロウオウム(マオリ語でKakapo)最後の生息地となりつつある。フクロウオウムは夜行性の鳥で、キーウィや既に絶滅したモアと同じく飛べない鳥類である。1977年に、ニュージーランド本土以外で、メスのフクロウオウムがスチュアート島で発見されたことで、フクロウオウムの保護政策が本格化した[4]ネコなどの害獣からの捕食を防ぐために、フクロウオウムは、スチュアート島沖合いのコッドフィッシュ島へと移された[4]

キーウィやフクロウオウム以外では、アオハシインコ英語版をはじめとするパラキート(マオリ語でkākāriki)、ニュージーランドバト(マオリ語でkererū)、エリマキミツスイ(マオリ語でtūī)、ニュージーランドミツスイ英語版(マオリ語でkorimako)、ニュージーランドヒタキ(マオリ語でmiromiro)、ニュージーランドクイナ(マオリ語でweka)、ニュージーランドコマヒタキ英語版(マオリ語でkakaruai)、シダセッカ英語版(マオリ語でmātā)、カカ(マオリ語でkākā)、セアカホオダレムクドリ英語版の生息地でもある。ニュージーランドチドリハジロシロハラミズナギドリ英語版なども訪れることがある[2]

フレッシュウォーター川河口に位置するパターソン・インレットは、ダイビングポイントとして知られているが、ニュージーランドでは有数の海草の生育地区であると同時に、貝類腕足動物の生息地でもある[5]

アクティビティ

トレッキングニュージーランド英語でトランピング)をラキウラ国立公園でも楽しむことができる。スチュアート島の舗装道路は、25キロメートルに過ぎないのに対して、トレッキングコースの総延長は245キロメートルに達する[5]

ニュージーランド国内に9ヶ所あるニュージーランド・グレート・ウォークス英語版の1つで全長32キロメートルのラキウラ・トラック英語版[6]をはじめとし、スチュアート島北西部を縦走する全長125キロメートルのノース・ウェスト・サーキット[7]やスチュアート島南部を縦走する全長71.5キロメートルのサザン・サーキット[8]がある。国立公園内には、以上の本格的なトレッキングコース以外にも、行程30分から2時間程度の短いトレッキングコースも複数、整備されている[9]。また、スチュアート島外では、ウルヴァ島にも短い距離のトレッキングコースがある[10]

それ以外のアクティビティは、ダイビングシュノーケリングを楽しむことができる[5]。主なダイビングポイントは、パターソン・インレットやウルヴァ島である[5]

脚注

  1. ^ a b ラキウラ国立公園”. ニュージーランド政府観光局. 2014年3月12日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m Features”. ニュージーランド環境保全省. 2014年3月12日閲覧。
  3. ^ BirdLife International (2008年). “Southern Brown Kiwi – BirdLife Species Factsheet”. Data Zone. 2014年3月12日閲覧。
  4. ^ a b About Kakapo Recovery”. ニュージーランド環境保全省. 2014年3月20日閲覧。
  5. ^ a b c d Activities in Rakiura National Park”. ニュージーランド環境保全省. 2014年3月17日閲覧。
  6. ^ Rakiura Track”. ニュージーランド環境保全省. 2014年3月17日閲覧。
  7. ^ North West Circuit Stewart Island/Rakiura”. ニュージーランド環境保全省. 2014年3月17日閲覧。
  8. ^ Southern Circuit Stewart Island/Rakiura”. ニュージーランド環境保全省. 2014年3月17日閲覧。
  9. ^ Stewart Island/Rakiura short day walks and tracks”. ニュージーランド環境保全省. 2014年3月17日閲覧。
  10. ^ Southern Circuit Stewart Island/Rakiura”. ニュージーランド環境保全省. 2014年3月17日閲覧。

外部リンク


ラキウラ国立公園

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/13 10:32 UTC 版)

スチュアート島」の記事における「ラキウラ国立公園」の解説

スチュアート島は山がちな火山島で自然が豊かで、2002年3月に島の85%近くがラキウラ国立公園として国立公園になった。これは世界最南端国立公園である。公園以外も島の殆どが原生林で、野鳥宝庫となっている。野生キーウィ観察できるのもここだけである。 また、避暑地として観光客訪れる。

※この「ラキウラ国立公園」の解説は、「スチュアート島」の解説の一部です。
「ラキウラ国立公園」を含む「スチュアート島」の記事については、「スチュアート島」の概要を参照ください。

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