北極ツンドラ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/05 14:09 UTC 版)
北極ツンドラは、北半球極北のタイガ地帯の北に位置する。通常、ツンドラという用語は、地下土壌が融けることのない氷を含む永久凍土である地域だけを指す(北部ラップランドを含め、木が生えない地域を一般的にツンドラと言う場合もある)。永久凍土ツンドラ地帯は、ロシアおよびカナダ北部の広大な地域を含んでいる。北極ツンドラには、凍土地帯のヌガナサン人、ネネツ人(およびラップランドのサーミ人)など、トナカイの放牧を営む遊牧民族が居住している。 ツンドラの生物多様性は低い。生物の種類は少ないが、それぞれの種毎の個体数は多い。北極ツンドラ地帯の主な陸生哺乳類はトナカイ(カリブー)、ヘラジカ、ドールシープ、ジャコウウシ、レミング、ホッキョクグマ、ホッキョクギツネ、クズリ、オオカミ、オオヤマネコ、ハイイログマなどである。 一部の地域では石油やウラニウムなどの天然資源が豊富であるにもかかわらず、厳しい気候のために北極ツンドラ地帯の開発はほとんど行われていなかった。しかし、近年アラスカ、ロシアなどにおいては、ツンドラの世界に人間の手が入りつつある。 地球温暖化はツンドラにとって大きな脅威である。基本的に永久凍土は凍った湿地であり、夏には表面付近の氷だけが融ける。もし凍土が完全に溶けてしまったら生態系全体が壊滅してしまうだろうし、北極圏の生物たちは急激な変化に対応できないだろう。また、世界の土壌中の炭素の3分の1はタイガとツンドラに存在するが、永久凍土が溶けると土壌に吸収される炭素より放出される炭素のほうが多くなってしまう。この現象はアラスカで実際に観測されている。ツンドラは、1970年代には炭素の処理場の機能を果たしていたが、今日では炭素の供給源になっているのである。これは、温暖化の問題をさらに悪化させる要因になっている。
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