労働安全衛生法上の問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/24 08:26 UTC 版)
労働安全衛生法における労働者の定義は、「労働基準法第9条に規定する労働者」とされている。上述#一人親方の労働者性で言及されているように、一人親方は労働基準法上の労働者とはみなされない。ゆえに、一人親方は労働安全衛生法上の労働者とはみなされない。労働安全衛生法に定められた各種の安全衛生教育についても、一人親方は対象とならない。そのため、「安全衛生に関する基本的な知識を十分身につける機会が得られていない」などの問題が存在する。 法的には、特別教育も一人親方は対象外とされる。なお、労働安全衛生法に定める就業制限(免許所有者や技能講習修了者でなければ就業できない業務)については、一人親方であっても適用される。 労働安全衛生法による保護の対象とならない一人親方等を含め、建設工事従事者の安全と健康を守ることを目的として、2017年3月16日に建設職人基本法が施行されている。また、2017年6月9日に閣議決定された「建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する基本的な計画」では、政府が「一人親方等に対してその業務の特性や作業の実態を踏まえた安全衛生に関する知識取得を支援する」こととされている。 一方、2021年(令和3年)5月17日には、最高裁判所において「当時の労働大臣が建設現場における石綿関連疾患の発生防止のために労働安全衛生法に基づく規制権限を行使しなかったことは、屋内の建設作業に従事して石綿粉じんにばく露した者のうち、労働者に該当しない者との関係において国家賠償法1条1項の適用上違法である」という趣旨の判断がなされた。厚生労働省は、当該判決を受け、労働安全衛生法第22条に基づく11の省令について、労働者以外の者に対する保護措置を規定する省令改正を行うとしている。
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