加群としての解釈
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 23:36 UTC 版)
環 A 上の射影直線 P(A) は加群 A ⊗ A 内の射影加群全体の成す空間とも同一視することができる。つまり P(A) の各元は A ⊗ A の直和因子になる。このより抽象的なやり方により、射影幾何学を線型空間の線型部分空間の幾何学とみる視点が与えられ、またバーコフの束論 やラインホルト・ベーア(英語版)の著書 Linear Algebra and Projective Geometry と関連付けられることもある。有理整数環 Z の場合、P(Z) を定義する因子加群は m, n が互いに素であるような U(m, n) に絞って考えればよいし、A が位相環のとき P(A) の主要な特徴である埋め込みも落ちている。Benz, Samaga & Scheaffer (1981) はこの直和因子による定義に触れている。 論文 "Projective representations: projective lines over rings"(「射影表現: 環上の射影直線」)では、環上の射影直線の定義に、行列環 M2(R) の単元群および、加群、両側加群の概念が用いられている。この単元群は(ふつうは R が体の場合に考える一般線型群の記法を流用して)GL(2, R) と書かれる。この場合の射影直線は、R × R の自由巡回部分加群 R(1,0) の GL(2,R) による軌道全体の成す集合になる。ベンツの可換理論を拡張して、環の元の右または左逆元の存在は P(R) と GL(2,R) に関係する。デデキント有限性が特徴付けられる。最も著しいことは、P(R) の可除環 K 上の射影空間における表現は、(K,R)-両側加群 U(つまり、U は左 K-線型空間かつ右 R-加群)となることである。P(R) の各点は、その補加群が P(K, U × U) に同型となるような部分空間である。
※この「加群としての解釈」の解説は、「環上の射影直線」の解説の一部です。
「加群としての解釈」を含む「環上の射影直線」の記事については、「環上の射影直線」の概要を参照ください。
- 加群としての解釈のページへのリンク