分析的意識の根拠
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 10:10 UTC 版)
字音仮名遣で「ぢ/づ」となる読みを「じ/ず」とする。 字音仮名遣で清音「ち/つ」であるが、日本語で用いられる内に濁音になったものの扱い。 いわゆる国語仮名遣の範疇である和語における「ぢ/づ」の扱い。 「現代語としては、語構成の分析的意識のないものと考えられる」との理由は、かなり主観的色彩の濃いものであり、客観的で明確な判断基準たり得ないという批判や異論は当時から多くあった。この語意識の問題は、三つ列挙した例のうち後者二つに波及する問題である。 「世界中」は本来、「世界」と「中」の複合語である。「現代かなづかい」では、原則「ぢ/づ」は使わず「じ/ず」を使うとした上で、「はな・ぢ(鼻+血)」や「みか・づき(三日+月)」のように二語の連合(及び「つづく(続)」や「ちぢむ(縮)」のような同音の連呼)により連濁が生じた語に限り、例外として「ぢ/づ」と書くとしている。「世界中」も二語の連合であるので「ぢ」と書くべきなのだが、その点については、上記のように「現代かなづかい」では言及されず、「正書法について」で、いわば例外のさらに例外として「ぢゅう」ではなく「じゅう」と書くと決められたわけである。 国語審議会内部でも議論は紛糾していた。例えば、第3期国語審議会では、「現代かなづかい」を補強するものとして作成された「現代かなづかいの適用について」という成案を第29回総会(1955年〈昭和30年〉11月10日)に提出した。この案は、「ぢ/づ」を適用する例を豊富に示したものであった(他に「オに発音されるほはおと書く。」を適用する語や、「助詞のはは,はと書くことを本則とする。」を適用するものの用例を示していた)が、総会において、「ぢ・じ」「づ・ず」の書き分けの基準が明確でないとの異論が出て、ついに決定するに至らなかった。そのような混乱状況の中で、翌年に出されたのが上記の「正書法について」という報告である。 その後「現代仮名遣い」では、「世界中」「稲妻」などの語(挙げられている語例の一覧は下記参照)について、「現代語の意識では一般に二語に分解しにくいもの等として、それぞれ、『じ』『ず』を用いて書くことを本則とし、『せかいぢゅう』『いなづま』のように『ぢ』『づ』を用いて書くこともできるものとする」という基準を打ち出している。まとめれば「せかいじゅう/いなずま」が本則だが「せかいぢゅう/いなづま」も許容する、ということである。ただ、基準の曖昧さはいまだに残っており、「ゆうずう(融通)」のように常用漢字の音訓表や「現代仮名遣い」だけでは説明ができないものもある。
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