分析的形而上学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 14:12 UTC 版)
1970年代以降の、分析哲学の手法を用いて様相、因果性、個体と普遍者、時間と空間、自由意志といった形而上学的主題を扱う哲学を分析的形而上学と称することがある。もともと分析哲学の潮流においても、同一性や決定論のように形而上学的主題は扱われていたが、「形而上学」という呼称は独断的という意味あいをもつネガティブなものだった。この状況が変化した契機には、様相論理学やメレオロジーなど形式的な体系が成功をおさめたことが挙げられる。これによって、可能性や必然性といった現実を超えたことがらを扱う様相の形而上学的理論が登場することになった。可能性や必然性といった様相概念を論じる意義に対しては、形而上学の排斥を掲げた論理実証主義を批判し総合・分析の区別に疑義を呈したクワインも否定的であった。これは、典型的な分析的形而上学者もであり、クワインの弟子でもあるデイヴィド・ルイスが、様相実在論で個体とその集合を基礎に据えた存在論を可能世界にまで拡張したことと対照的である。その他、バークリ研究から出発し科学的世界観と普遍者の実在論の調停を目指したD.M.アームストロングや、現象学の薫陶を受けたロデリック・チザムなど、多様な哲学的背景をもった分析的形而上学者がいるのも特徴的である。
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