存在論の現在と未来
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 01:07 UTC 版)
ドイツでは、戦後しばらくの間はハイデッガーが学派とまではいえないにせよ一定の影響力を持っていたが、1960年ころから、いわゆる「ドイツ社会学の実証主義論争」を経て、英米系の言語哲学、科学哲学、現代的認識論の発展の成果を受容する流れがドイツ哲学会では強くなり、ハイデガーの影響力は減退していった。 経験論、プラグマティズムの伝統の下、論理実証主義、分析哲学が発展し、形而上学を否定する傾向のある英米系の哲学では、特にハイデッガーを評価する向きは少ないようであるが、近年、存在論も含め形而上学的な問題がやや形を変えた形で議論され、分析的形而上学と呼ばれている。英米系の哲学では、クワインの主張が以後の存在論の流れを方向付けた。存在論は認識論と同様自然化されなければならないとされ、いわゆる存在論的問題は自然科学によって解答が与えられるべきものであり、そのプロジェクトは科学者が共同して遂行していくものとのされた。そこでは、専門訓練を受けた科学者が、それぞれの専門分野で、物理学の哲学、生物学の哲学といった個別の分野ごとに存在論的問題を論じていくことになる。それでは存在論は単に科学の一章にすぎないのであろうか、それともやはり哲学固有の問題は残り続けるのであろうか。この点については、現在も肯否両論の立場から議論が続けられており、その解決は未来に残された問題といえるだろう。
※この「存在論の現在と未来」の解説は、「存在論」の解説の一部です。
「存在論の現在と未来」を含む「存在論」の記事については、「存在論」の概要を参照ください。
- 存在論の現在と未来のページへのリンク