分割民営化に向けて
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 15:23 UTC 版)
公営サービスの民営化を掲げるサッチャーの政策はジョン・メージャー政権にも引き継がれ、1993年鉄道法(英語版)によって国鉄分割民営化が決定した。 民営化の際には日本のJRのような地域分割による4大私鉄復活から全国画一組織のまま国鉄本社の株式会社化まで様々な案が提言されたが、国内のシンクタンクであるアダム・スミス研究所の提言に基づき、電気やガスで前例があった上下分離方式が採用された。 3つのセクターの担当だった旅客列車に関しては運行系統ごとに民間企業に期限付きのフランチャイズが授与され、20数社の列車運行会社が運行を継承した。各社の鉄道営業の統括を担う組合として列車運行会社協会(ATOC)が設立され、「ナショナル・レール」 (National rail) のブランドを制定し、乗車券発行が共通化された。なお、フランチャイズ契約とは別に、線路使用料を払えば自由に運行できるオープン・アクセス・オペレーターの参入も解禁された。貨物輸送は準備会社が6社設立されたが、結局そのうちの5社がイングリッシュ・ウェルシュ・スコティッシュ鉄道(現DBカーゴUK)(英語版)1社に統合された。 インフラについては競争性が薄いと判断され、国鉄が担ってきたインフラの一元管理の役割を引き継ぐ独占企業の設立が法律で制定され、1994年にレールトラック社 (Railtrack plc) が創設され、ロンドン証券取引所に上場予定とされた。 なお、国鉄本社は残務処理のため1997年以降も残存し、2000年運輸法(英語版)により運行会社の監査および営業政策提言を担う鉄道戦略庁(英語版)に改組された。警察機関のイギリス鉄道警察(BTP)は民営化されずに存置され、民営各社に継承されない資産・負債管理は日本の国鉄清算事業団と同じく運輸省傘下に設置されたBRB (Residuary)(英語版)に引き継がれ、同社が2013年に解散された後もなお残存する負債や廃線跡の軌道敷は同じく運輸省傘下のロンドン・アンド・コンティネンタル・レイルウェイズが保有している。
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