内宮領・川曳
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/23 09:00 UTC 版)
内宮の用材を橇に積み、五十鈴川を遡り内宮境内まで奉曳する。過去には、鹿海町にあった貯木場から奉曳していたが、現代では三重県営体育館裏から内宮境内まで約1km五十鈴川を奉曳する。出発場所はどれも共通だが、第62回式年遷宮における曳き上げ場所および木を納める場所は下表のとおりである。 祭事名 曳き上げ場所 木を納める場所 御樋代木奉曳式 風日祈宮橋(五十鈴川の支流の島路川) 五丈殿 御木曳初式 御手洗(みたらし)(注) 五丈殿(正宮)、各別宮 御木曳行事 宇治橋の手前 参集殿前 (注)第62回の御木曳初式では、増水のため宇治橋の手前で曳き上げた。 橇と綱、および梃子棒は神宮から貸与される。御木曳初式・御木曳行事においては、鳥居、榊や各奉曳団の幟などが立てられる。橇に長さ100 - 200mの2本の綱を繋ぎ100 - 3,000名の曳き手が奉曳する。橇周辺には、進行責任者のほか、梃子方(てこがた)といい橇後方に繋がれた別の綱で進行方向を制御したり梃子棒で浅瀬に乗り上げた橇を持ち上げたりする役割の者がいる。また、木遣子(きやりこ)といい采(ざい)を振り木遣歌を歌いエンヤの掛け声をかけ曳き手を鼓舞する者がいる。采は檜製の棒で先端に檜・柳・ミズキ等の木材を薄く切った幣(へい)を取り付けた物である。ほかに法螺貝を吹く者もいる。 川中の行事であるので当日の雨は催行に影響はないが、川が増水した場合は危険なため延期されることがある。逆に水量が少ないと橇と用材の浮力が利用できないので曳くのに苦労する。 奉曳は一気に進むことはなくしばしば停止する。河原に上がっての休憩のほか、「練り」といって、奉曳時は離れている2本の綱の曳き手がその中間でぶつかり押し引きをすることがある。木遣子は綱の間にいるため、2本の綱に挟まれ高く持ち上げられることもある。 御木曳行事において川から境内へ曳き上げるときには、「エンヤ曳」といい一気に曳き上げることがある。勇壮だが、コースが狭く曲がっており足場も悪いので、橇が木に衝突したり転倒したりして怪我人が出ることがある。 内宮境内曳き上げ後、参道も橇のまま曳かれるが、御木曳初式の別宮用材は、その御敷地(遷宮予定地)に納められその途中に階段や橋があるため、橇から降ろし用材を担いで運ぶ。月讀宮・倭姫宮に関しては、「内宮領・陸曳」参照のこと。 最後に用材は橇から降ろされ、レール状に置かれた角材の上を転がされ所定位置に納められる。このとき用材が地面に触れてはいけないので、梃子棒と綱を使い慎重に降ろされる。
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