公表と反響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/18 21:45 UTC 版)
「アルディ (アルディピテクス)」の記事における「公表と反響」の解説
アルディはその復元や評価に時間がかかったため、すごい化石らしいという噂ばかりが広まっていたものの、公表されたのは2009年になってからだった。その成果は『サイエンス』2009年10月2日号に掲載された11本の論文として結実し、アルディに関するさまざまな角度からの分析やその生息環境について論じられた。この特集は100ページ近くになり、その号全体の約半分を占めた。『サイエンス』が後にこの一連の研究を「ブレイクスルー・オブ・ザ・イヤー」に選出したというのは、冒頭に述べたとおりである。 この公表を受けて、マスメディアはアルディについてこぞって報じ、ディスカバリー・チャンネルでは公表から2週間と経たないうちに、早速アルディの2時間番組を放送した。日本でも10月2日の朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、産経新聞などの朝刊各紙がこの公表を報じ、朝日新聞は11月3日付の朝刊科学面で、ほぼ1面を割いた解説記事を掲載した。 発見された時点では最古の人類だったが、公表に時間がかかり、その間にアルディピテクス・カダバ(1997年発見、2001年公表)、オロリン・トゥゲネンシス(2000年発見・公表)、サヘラントロプス・チャデンシス(2001年発見、2002年公表)などの500万年前から700万年前の重要な発見が相次いだため、アルディは公表時点で最古の人類ではなくなっていた。しかし、アルディよりも古い人骨はいずれもほとんど共通する部位を含まない断片にすぎない。特に最古のサヘラントロプスに至っては頭蓋骨しか出土しておらず、大後頭孔の位置から直立二足歩行の可能性が指摘されるにとどまっている。このため、現在発見されている範囲では、アルディは人類が類人猿との共通祖先から分岐した原初の姿に最も近い特徴を備えていると考えられており、前出のジョハンソンは、ロゼッタ・ストーンに喩えて、初期人類の解明に寄与するものと位置づけている。
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