公表される10a当たり収量と農家の実感の違い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/10 06:04 UTC 版)
「作況指数」の記事における「公表される10a当たり収量と農家の実感の違い」の解説
国の調査により公表された10a当たり収量に対して、実際はその収量に達していないという苦情が、しばしば農家から聞かれる。 もちろん、個別の水田における収量が、都道府県や地帯別の作況指数と乖離が生じることは十分にありえる。しかし、多くの場合における実感の違いは、ふるい分けの際に用いるふるい目の違いに起因するものである。 ふるいは、その名のとおり一定以上の大きさのものを選別するために用いるものであるが、農家が実際に使用している篩い目幅は、品種や地域により、1.70mm~2.00mm以上とまちまちである。通常くず米をより分けるために用いる米選機に付属する標準的な網目は、カタログによれば1.85mm前後であることが多い。 (なお、ここでふるいの網目を通過したふるい下米(一般に言うくず米)も、食用に供するには問題ないため、専門の業者により集荷・再選別され、一部は飯用として流通している実態がある。) 一方で、国の調査においては、「飯用の全量を全国的に把握する」ことを目的としており、共通の基準に基づいて行う必要があることから、流通の実態も踏まえ、前述したとおり、ふるい目幅は1.70mmとなっている。このため、国の基準に比べて大きいふるい目幅を用いている農家においては、実感している収穫量と収穫量調査結果の数字には乖離が生じる。(その年の作柄にもよるが、2~8%程度またはそれ以上の差が出ることが認められている) また、農家の心理として不作であれば周囲に触れ回るが、同等または豊作の場合は沈黙している場合が多い。 収穫量調査の結果は、課税標準額を用いて確定申告を行う農家の収入金額計算に大きな影響を与えることから、国においては「玄米のふるい目幅別重量分布及び10a当たり収量内訳」を併せて公表する事で、各農家などが使用しているふるい目幅による収量を推計できるようにするとともに、税務署などの関係機関に対して、所得への課税にあたりふるい目幅の実態が適正に反映されるよう、農家の選別実態と地域ごとの玄米のふるい目幅別重量分布状況等についての説明が行われているとのことである。
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