入声「フ」の変化音
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/08 13:45 UTC 版)
また漢字の入声(語末の破裂音)[k][p][t]のうち、[p]は後続語の語頭子音が破裂音や摩擦音である場合を除いて、母音挿入され「フ」とされた(「フ」の子音はもともと[p]であったと推測されている)。例えば「蝶(テフ)」。しかし、その後、「フ」の子音は[ɸ]に変わり、さらに後には語中・語尾のハ行はワ行へと変化した(ハ行転呼)。この変化を受けて一般的に入声「フ」は「ウ」に変化した。例えば「蝶(チョウ)」。しかし、もともとは[p]であったため、古語で後続音が破裂音・摩擦音の連語の場合に破裂音を促音として残しているものもある。例えば「甲子(カッシ)」「合戦(カッセン)」「入声(ニッショウ)」「集解(シッカイ)」「法度(ハット)」など。しかし、現在では多くが後続音が破裂音・摩擦音であっても促音化せず「ウ」とするのが普通である。「甲子園(コウシエン)」「合成(ゴウセイ)」「入賞(ニュウショウ)」「集会(シュウカイ)」「法廷(ホウテイ)」など。これに対して促音を維持しつつそれ以外の「フ」を「ツ」に変えるものも現れた。例えば「立(リフ)」「執(シフ)」「圧(アフ)」「接(セフ)」などは後続音に関わらず「リツ」「シツ」「アツ」「セツ」とする。例えば「圧力(アツリョク)」「立面(リツメン)」「確執(カクシツ)」「直接(チョクセツ)」など。(実際のところ、「建立(コンリュウ)」「妄執(モウシュウ)」など、「立」「執」には「リュウ」「シュウ」の字音も共用されている)漢和辞典の見出しにも「アツ」「リツ」「シツ」と書かれ、[p]の系統からはずれてあたかも[t]の体系に属するように見えるため、漢和辞典ではこれを慣用音と表記している。
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