傘がないとは? わかりやすく解説

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傘がない

作者落合恵子

収載図書センチメンタルシティ
出版社角川書店
刊行年月1988.4

収載図書センチメンタル・シティ
出版社角川書店
刊行年月1991.3
シリーズ名角川文庫


傘がない

作者本岡類

収載図書推理小説代表作選集推理小説年鑑 1991
出版社講談社
刊行年月1991.5

収載図書9人の仕事人―ブラック・ミステリー集
出版社実業之日本社
刊行年月1993.12

収載図書完全犯罪お静かにミステリー傑作選 28
出版社講談社
刊行年月1995.5
シリーズ名講談社文庫


傘がない

作者高橋恵子

収載図書Nobody is LONELY
出版社日本文学館
刊行年月2007.3


傘がない

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/31 02:32 UTC 版)

「傘がない」
井上陽水シングル
初出アルバム『断絶
B面 感謝知らずの女
リリース
規格 7インチレコード
ジャンル フォーク
時間
レーベル ポリドール・レコード
作詞・作曲 井上陽水
プロデュース 多賀英典
チャート最高順位
井上陽水 シングル 年表
人生が二度あれば
(1972年)
傘がない
(1972年)
夢の中へ
(1973年)
テンプレートを表示

傘がない」(かさがない)は、日本シンガーソングライターである井上陽水の楽曲。1972年7月1日に、自身の2枚目のシングルとしてポリドール・レコードからリリースされた。

デビュー・アルバム『断絶』からのシングルカットで、当初はヒットしなかったが[2]、いつしか初期の陽水の代表曲といわれるようになった[3]ジャケット写真の石段は猿楽町からマロニエ通りに上がる「男坂」[4]

音楽性

歌のテーマは、当時の日本社会に多少の皮肉を込め、世の中で起きている学生運動よりも、今は自分が「君」(恋人[5])に会いに行かねばならないのに「傘がない」という問題のほうを考える必要があるというものである[4]

制作当時はまだ学生運動の季節だった[2]。しかし過激化した学生運動は、アルバム『断絶』やシングル「傘がない」リリースの頃にはすでに下火になっていた。寺島実郎は1972年に吉田拓郎結婚しようよ」、井上陽水「傘がない」を聴き、寺島は「大学のキャンパスにいた最後の年だったが、『政治の季節』が終わったことを確認した」[6]と言う。

「傘がない」のリリースは、学生運動の勢いが下り坂になったあとに訪れた「シラケの季節」に丁度突入していたため、社会的問題に向き合わないミーイズム(meism: 自己中心主義)の登場とも言われた[2]。陽水本人は、「別にそんなふうに考えて作った歌ではないんですよ。ただ単に、周りが政治の季節であったというだけのことで…」と語っている[2]。すなわち制作当時は学生運動が盛んであったが、リリースまでの時間差が誤解を生じさせたのである。

筑紫哲也は「傘がない」を聴いたとき、「すごいのが出てきた」と面白がった[7]。筑紫はキャスターを務めたテレビ朝日日曜夕刊!こちらデスク』で「傘がない」を流し、2番を歌った[7]。筑紫は深刻な顔で自国の将来を語るような憂国の番組にしてなるものかと思ったのである[7]。陽水はその放送を観て「この人、分かってるな」と思った[7]。筑紫の死後、陽水はこう語った[8]

ちょっと生意気な言い方になりますが、ああ、この人は相当、わかってるなと思いました。ジャーナリズムに身を置きながら、ジャーナリズムを突き放して見ることができる。ある意味で、ユーモアがわかる人なんだ、と。そのあと、どうやってお会いしたのかは覚えていないのですが、「こちらデスク」が打ち切りになるという最後の放送に出演しないかと声がかかり、番組の締めくくりに「傘がない」を含む3曲を歌いました。歌謡番組でさえ珍しいのに、報道番組で3曲続けてなんて不思議なんですが。筑紫さんだからできたのだと思います。

2011年東日本大震災の発生によりツアーを中断、「しばらく歌う気になれなかった」陽水は2012年4月からの全国ツアーにおいて、「傘がない」は「今歌うことに疑問がある」、原子力に言及する「最後のニュース」は「今は適切でない気がする」と話した[9]

制作背景

ホリプロの制作担当で陽水のディレクター兼マネージャーだった川瀬泰雄は、1971年7月17日に後楽園球場で開催されたグランド・ファンク・レイルロードの日本公演「ロック・カーニバル#6」に陽水を招待した[4]。「傘がない」は、悪天候に見舞われて伝説となった同公演で演奏された楽曲「ハートブレイカー」に影響を受けて誕生した[1]

ある時、陽水は川瀬のところへ行き、「こんな曲はどう?」と「傘がない」の原型を披露した[4]。「ハートブレイカー」のコード進行は「Am-G-F-E7」を中心とするいわゆるアンダルシア進行と呼ばれるもので、「傘がない」にマッチした[4]。川瀬は盗作かという点について、このコード進行はデル・シャノン悲しき街角(ランナウェイ)」、ザ・ベンチャーズ急がば廻れ(ウォーク・ドント・ラン)」などポップミュージックで多用されるものであり、メロディも異なると説明している[4]。この時はサビがなく、彼はギターで「F」を押さえ、そのあたりの音でサビを作る提案をした[4]。陽水は「Dm」を押さえ「つめたい雨が」以降のメロディを作った[4]

後年、川瀬は娘と陽水のコンサートに行った時に「傘がない」の演奏で当時を思い出して、彼女に「この曲のサビはウチで作ったんだよ」と言った[4]。2人が楽屋へ行くと、陽水は彼女に「お父さん、『傘がない』を歌ってる時に、この曲、ウチで作った、と言ってたでしょう」と言った[4]

歌詞に関しては「都会では自殺する若者が増えている」の出だしが、この曲の代名詞[独自研究?]にもなっているが、 これはビートルズの「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」の"I read the news today, oh boy."からインスパイアされたものである。[要出典]

収録曲

7インチレコード
全作詞・作曲: 井上陽水、全編曲: 星勝
# タイトル 作詞 作曲・編曲 時間
1. 傘がない 井上陽水 井上陽水
2. 感謝知らずの女 井上陽水 井上陽水
合計時間:

クレジット

  • ディレクター:多賀英典
  • ミクサー:大野進
  • カバー・デザイン:松尾博
  • フォト:武藤義 ※陽水が小さくたたずみ、手に紙を1枚、ギターを脇に置いたジャケット写真はアルバム『断絶』同様で、『断絶』のアングルはこのシングルより広い。

ミュージック・ビデオ

2008年のベスト・アルバム弾き語りパッション』のミュージック・ビデオ(MV)に収録されている「傘がない」は、オダギリジョーが陽水の若かりし頃を演じる[10]。俳優がアーティスト本人役を務める試みは業界初であった[10]横浜市桜木町駅前で撮影[10]。ミュージック・ビデオの歌声は陽水のもの[11]

オダギリジョーは陽水の大ファンであり[12]、オダギリの好みは「氷の世界」という[13]。2007年の映画『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜』で主演を務めたオダギリは、映画のパンフレットで「人生が二度あれば」の詞に感動したと語った[10]。映画の原作者リリー・フランキーと陽水は親交が深い[10]。陽水のレコード会社スタッフがこのパンフレットを見て陽水に持ち掛けて話が進み、依頼を受けたオダギリは快諾した[13]

この話が来ると、オダギリは陽水のライブDVDを観て役作りに臨んだが、「真似するのはやめました。独特な唄い方で似せることはできないですね」と、自己流の演技で行くことにした[10]。2000人以上の通行人・ギャラリーの歓声に包まれて[12]、1台のカメラで、「傘がない」をオダギリは長回し一発勝負のフルバージョンで歌い切った[11]。陽水は「ハンサムだね。想像していたより、ずっといいね。しかも、すごく熱心だし。以前からCMや『東京タワー』など見てきましたが、本当に才能のある人だなと感じました」と評した[13]

収録アルバム

カバー

関連項目

脚注

注釈

  1. ^ ちなみに冒頭のライブシーンではとんねるず(役名は井上のデビュー当時の芸名・アンドレ・カンドレ)が『一気!』(サビは島津ゆたかの『ホテル』の一部)を歌うも、客席から怒号が飛び交い、物が投げられて演奏を中止、井上は『心もよう』を歌うも客席が無反応というものである。

出典

  1. ^ a b 第17回放送 音楽プロデューサー・川瀬泰雄が語る「ビートルズと歌謡曲」《前篇》, 音楽情報サイト「歌謡曲リミテッド」, (2017年5月23日), http://kayo.musicshelf.jp/radio-guide/id19136/ 
  2. ^ a b c d 佐藤剛 (2015年3月18日), 井上陽水の「傘がない」にあったのは、「カ」「サ」「ガ」「タ」「ダ」から生まれる切迫感と叙情だった, ウェブマガジン『TAP the POP』, http://www.tapthepop.net/song/26753 
  3. ^ SONGS | 第112回 井上陽水, NHK, https://www6.nhk.or.jp/songs/prog.html?fid=091111 
  4. ^ a b c d e f g h i j 川瀬泰雄 (2015年6月11日), 「傘の日」、といえばやはり井上陽水「傘がない」, ウェブマガジン『大人のMusic Calendar』, http://music-calendar.jp/2015061101 
  5. ^ 風時計, 岩手日報, (2016年6月9日), オリジナルの2016年6月9日時点におけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20160609075558/http://www.iwate-np.co.jp/fudokei/y2016/m06/fudo160609.htm 
  6. ^ 寺島実郎の発言: 問いかけとしての戦後日本−(その5) 日本人の心を映し出す歌謡曲の変遷 岩波書店「世界」2008年8月号 脳力のレッスン76, 日本総合研究所, オリジナルの2011年11月29日時点におけるアーカイブ。, https://archive.is/20111129032826/http://www.nissoken.jp/hatugen/kiji20080801.htm#selection-193.1-193.5 
  7. ^ a b c d うたの旅人: 21世紀を見つめた黙示録 井上陽水「最後のニュース」, 朝日新聞デジタル, (2010年3月19日), http://www.asahi.com/shopping/tabibito/TKY201003180264.html 
  8. ^ 井上陽水さん(1) 筑紫さんの一言から生まれた「最後のニュース」 - 週刊朝日MOOK『筑紫哲也』, asahi.com, (2010年11月5日), オリジナルの2016年9月11日時点におけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20160911021119/http://book.asahi.com/special/TKY201010290297.html 
  9. ^ 陽水、揺らぐ揺さぶる 4月から全国ツアー, 朝日新聞デジタル, (2012年4月3日), http://www.asahi.com/culture/intro/TKY201204020254.html 
  10. ^ a b c d e f オダギリジョーが若き日の井上陽水を熱演、業界初の異色コラボ, ORICON NEWS, (2008年7月9日), https://www.oricon.co.jp/news/56180/full/ 
  11. ^ a b オダギリが陽水に、「傘がない」PV出演, 日刊スポーツ, (2008年7月9日), https://www.nikkansports.com/entertainment/news/p-et-tp0-20080709-381520.html 
  12. ^ a b 陽水役を「才能のあるハンサム」オダギリジョー熱演, ナタリー, (2008年7月9日), https://natalie.mu/music/news/8211 
  13. ^ a b c オダギリジョー、井上陽水を演じる, BARKS, (2008年7月9日), https://www.barks.jp/news/?id=1000041571 
  14. ^ 平山雄一(インタビュー) (9 March 2016). ダイアモンド✡ユカイ 『Respect III』 リリース・スペシャル・インタビュー (YouTube). UNIVERSAL MUSIC JAPAN.
  15. ^ さだまさし、カバーアルバムで伝えるフォークソングの普遍性 時代を超えて今に響くメッセージの本質”. 音楽リアルサウンド (2021年10月27日). 2021年11月22日閲覧。

外部リンク

  • 井上陽水 オフィシャルサイトによる紹介ページ

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