信号機の制御と運用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/16 03:17 UTC 版)
当初は、信号機は単純に進行と停止の指示をしていた。交通量が増加するにつれて、これだけでは不十分となり、様々な改善が加えられた。改善の一例としては、中継信号機の導入が挙げられる。中継信号機は、その先の信号機で止まる必要があるかどうか、運転士にあらかじめ伝達する。列車は停止信号が見えるようになった時点ではもう信号機までに止まることができる距離を過ぎていることが多いので、中継信号機を導入することにより高速化が可能となった。 信号機は当初、それぞれに直接接続されたてこで制御されていた。後にてこは集約されてワイヤやリンク機構により制御するようになった。この信号てこは信号扱所と呼ばれる場所に集約されることが普通で、機械的な連動装置により開通している分岐器と矛盾する信号現示が行われることを防ぐ仕組みも用いられるようになった。後に自動信号が導入されると、軌道回路を設置して列車の在線を検知し、それによって自動的に信号現示を変化させるようになった。 イギリスの高速鉄道線では、4現示信号機を使うことが標準である。停止現示 (danger aspect)(赤)の1つ手前の信号機は注意現示 (caution aspect)(黄1つ)であり、さらにその手前の信号機は予備注意現示 (preliminary caution aspect)(黄2つ)となっている。 停止現示の信号機を冒進する(SPAD: signal passed at dangerと呼ばれる)危険は常に存在するため、イギリスでは現在2種類の自動列車保安装置が使用されている。AWS (automatic warning system) は電磁石と永久磁石の組み合わせで動くシステムで、信号機の外方200ヤード付近に設置され、電磁石には信号機が進行現示の時だけ電圧が加圧され、それ以外の信号現示であったり信号が故障していたりする時は電圧は加圧されない。車上装置は磁石を検出すると、進行現示の時にはベル(または相当の電子音)を鳴らし、それ以外の現示の時にはクラクション(または相当の電子音)が鳴らされて、数秒以内に運転士がAWSリセットボタンを押さなければ自動的に非常ブレーキが作動する。 TPWSは、合流点や終端点、恒常的な速度制限を防護するために使用されるシステムである。2つの地上子を軌道内に設置し、最初の地上子が車上子に起動の信号を送り、2番目の地上子が車上子にトリガを送る。TPWS車上子は、起動の信号からトリガまで一定時間が経過していなければ、非常ブレーキを作動させる。TPWSの起動とトリガの地上子はしばしば同じ場所に設置して、合流点への信号冒進などを非常停止させるためにも用いられている。また、停止現示の信号機に接近する時点で、一定の距離で20マイル毎時の速度制限を掛け、さらに信号機のところで非常ブレーキを動作させるためにも用いられる。
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