保管、処理、販売
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/31 03:40 UTC 版)
石油コークスはほぼ純粋な炭素であるため、燃やした場合には二酸化炭素の発生源となる。 石油コークスは、石油精製所近くの集積所に貯蔵されることがある。例えば、2013年にコーク・カーボンがデトロイト川近くに所有していた集積所には、2012年11月からアルバータ州のオイルサンドを原料にビチューメンの精製を開始したマラソン石油の製油所で生産された石油コークスが集められていた。2013年時点で、カナダには大規模な石油コークス集積所が存在し、中国やメキシコはカリフォルニア州から輸出される石油コークスを燃料として輸入していた。ビル・コーク(英語版)が所有するオックスボウ社は石油コークスの主要ディーラーの1つで、2013年には1,100万トンを取り扱っていた。 AP通信は、2017年にはアメリカから輸出される石油コークスの1/4がインド向けだったと報じた。その量は2016年には800万トンで、2010年比で20倍以上に上っていた。インドの環境汚染規制当局がニューデリー近郊で使用されていた輸入品の石油コークスを調べたところ、硫黄含有量が規制値の17倍以上に上ることが判明した。 国際海事機関 (IMO) は船舶による海洋汚染を防止するためマルポール条約を採択し、2020年以降は0.1%以上の硫黄分を含む燃料油 (重油など) を船舶で使用してはならないことを定めている。残渣油のうち約38%は主に重油として船舶で使用されており、石油コークスは残渣油を熱分解して軽質油を得る際の副産物として生じている。残渣油が舶用燃料として使用されなくなれば、その分は熱分解により軽質油を得るのに回される(それ以外に使い道がなく、そうしないと収益も上がらない)ので、石油コークスの有用性は今後高まると予想されている。石油コークスはそのまま廃棄すると硫黄分や炭化水素が溶出するなど環境面で問題となることから、メタン合成プラントで合成天然ガスの原料として利用されることもある。石油コークスに含まれる硫黄分は脱硫装置で消石灰と反応させれば有価物の石膏として回収できる。
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