使用される薬剤
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/25 02:59 UTC 版)
便秘治療をはじめとして排便を促す目的の浣腸では、 腸内の便を軟らかくし便の滑りをよくする 大腸を刺激し大腸の蠕動運動を促進する という2つの効果のうち少なくとも一方を満たす薬剤が浣腸液として用いられる。排泄を促すために使われる薬剤としてもっとも一般的なのがグリセリンである。 グリセリンは油脂を構成する成分の一つであり、人体に対して毒性が低いことも浣腸液として適している。水とよく混ざる特性を持ち、グリセリンを腸内へ注入すると、浸透圧によって大腸を刺激し蠕動運動(便を肛門方向へ押し出そうとする腸の運動)を促進させるとともに、便を溶かし軟らかくする。また、潤滑油の役割を果たし便の滑りをよくし排出しやすくする、といった2つの薬効を持つ。 浸透圧による腸への刺激、また、蠕動運動によって直腸へ押し出された便が直腸に圧力をかけることで便意中枢が刺激され、注入後3分~5分程度で強い便意が起こる。 グリセリン原液を使用すると刺激が強すぎ腸壁を損傷するおそれがあるため、水で薄めた50%~30%の薬剤が使用される。また、催下効果が高く他の薬剤に比べて少量の注入で十分な効果があるため、10ml~200mlが処方される。 その他、石鹸水・食塩水などが用いられる(石鹸水浣腸に逆性石鹸は利用できない。名称は似ているが全く異なる成分であり、取り違えると大変危険である。また、近年は石鹸水は粘膜に対する刺激が強く危険であるということから利用されなくなっている)。石鹸水の場合は両方の効果を果たし、食塩水は蠕動運動の促進効果のある薬剤である。また、刺激の少ないぬるま湯が用いられることもある。これらの薬剤はグリセリンよりも多く、500ml~2000ml程度の量を注入することもある。 いずれの薬剤を使用するにせよ十分な効果を得るためには注入後即排出するのではなく、便意を感じ始めた後も一定時間(3~5分程度)我慢させる必要がある。
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