作曲作品・作風について
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「アレクサンドル・グレチャニノフ」の記事における「作曲作品・作風について」の解説
5つの交響曲を残しており、そのうち第1番はリムスキー=コルサコフの指揮で初演された。4つの弦楽四重奏曲や2つのピアノ三重奏曲、ヴァイオリン・ソナタ、チェロ・ソナタ、クラリネット・ソナタ、ピアノ・ソナタに加えて、バラライカのためにもソナタを作曲している。合唱曲や器楽曲のほかに、歌劇もいくつか残した。ウラディーミル・レビコフに似て、音楽史におけるグレチャニノフの立場は過渡的である。初期作品はチャイコフスキーや国民楽派(とりわけボロディン)の影響を受けており、同世代のヴァシリー・カリンニコフに似た作風を示しているが、後年の作品、とりわけ亡命後の作品は、後輩ロシア人作曲家のストラヴィンスキーやプロコフィエフのモダニズムから、多少の影響を受けている。 渡米を前に完成させた力作《ミサ・エキュメニカ》においては、エキュメニカル運動を支持し、ロシア人ながらもカトリック教会の典礼にのっとり、グレゴリオ聖歌に加えてユダヤ教の賛歌をも利用している。 一方で、ロシア正教会の伝統的旋律と和声を活かした正教会聖歌も作曲しており、その膨大な数に上る正教会聖歌作品はロシア正教会のみならず、ブルガリア正教会、アメリカ正教会などでも用いられている。特に聖金口イオアン聖体礼儀に曲付けしたものとしては4つの作品があり、作曲時期が半世紀に亘る4作品それぞれに曲の傾向が異なっている。1番はチャイコフスキーの影響が濃厚であり、2番はソロと合唱の掛け合いがある。3番には器楽伴奏が付けられ、無伴奏声楽で行われる正教会の奉神礼で使用される機会は無い。3番まではいずれの曲においても高い技巧が要求されるものであった。こうしたグレチャニノフの聖金口イオアン聖体礼儀の作曲も、4番においてはシンプルさ、ロシア聖歌の伝統、奉神礼での実用性を考慮したものが完成している。
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