作品中の妖精
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/29 23:59 UTC 版)
アーサー王と円卓の騎士にまつわる伝承には、現在想像される妖精とは印象が異なるが、数多くの妖精が登場する。アーサー・ペンドラゴンにエクスカリバーを渡した湖の女性の腕、赤子のランスロット卿を養育した湖の婦人は、湖の妖精である。魔女モルガン・ル・フェイのフェイ(フェ)は、フェアリーのことである。ガウェイン卿と緑の騎士に登場する緑の騎士の不死の力は、植物の勢いや再生力に結びつけられ、パックなど緑衣をまとう多くの妖精と同じく、森林信仰に起源があるとされる。 ウィリアム・シェイクスピアの作品『真夏の夜の夢』では妖精がテーマとして扱われている。作中では、いたずら好きな妖精のパック(プーカ)が、妖精の王オーベロンに命令され、オーベロンの妻タイターニアに目を開けて最初に見た人と恋に落ちるという魔法をかけた。さらにパックは彼女が最初に見るであろう人間をロバの頭をもつ姿に変えている。 ウィリアム・S・ギルバートも妖精が好きで、彼らをテーマにしたいくつかの戯曲を書いている。ギルバートとアーサー・サリヴァンによるオペレッタの傑作の一つ『イオランテ(英語版)』では、フェアリーと貴族たちの間のもめごとやフェアリーと人間の結婚や異種交配についてユーモラスに描かれている。 ヴィクトリア朝時代の画家リチャード・ダッドは邪悪で悪意をもつものとして妖精を描いたが、当時の人々はコティングリーで撮られた妖精の写真に強く影響を受けた。 人間にとって恐るべき妖精を好んで描いた小説家にアーサー・マッケンがいる。『黒い封印の話(Novel of Black Seal)』、『白魔(The White People)』、『小人について(The Little People)』では明示的に小人族の恐怖が扱われている。また『赤い手(The Red Hand)』や『黒い封印の話』と一部の舞台を同じくする『パンの大神(The Great God Pan)』にも人類ではない人間についての仄めかしがある。 妖精は、キリスト教社会においては排除あるいは忘れ去られた崇拝や畏怖の対象であることが多く、そのため同様に扱われた魔法使い、魔女の物語には頻繁に登場する。J・K・ローリングのハリー・ポッターシリーズはその典型的な例である。ゴブリン、トロール、ドビーなどのホブゴブリン(屋敷しもべ妖精)、ボガート、ドラゴン、レプラホーン、グリンディロウ(水妖)、カッパなど、数多くの妖精が伝承にそって、あるいはローリングの解釈や創作を加えられて登場する。
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