作る植物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/08 00:56 UTC 版)
ダニ室を持つのは双子葉植物の、普通は樹木であり、蔓植物にも例がある。草本や単子葉植物での発見例も報告はあるが、検証された上に確認されたものはないという。 その所属する分類群は非常に広範囲に及ぶ。西田(2004)は文献調査の結果として64科をあげている。ダニ室を作る植物は珍しいものではなく、例えば韓国での調査によるとダニ室を持っているものは種数で36%、属数で37%、科の数では66%にも及んだ。有名なところではアラビカコーヒーノキも持っており、この植物でのダニ室の役割なども研究がなされている。西田(2004)は日本産のダニ室を持つ植物の例として100種以上を示しているが、その中にはブナ・クヌギ・ケヤキ・クスノキ・イロハモミジ・エゴノキ・クチナシ・サンゴジュなど、普通の人でも知っているような樹木が幾つも上がっている。 地理分布においても幅広く、湿潤な熱帯域から亜熱帯域に特に多いものの、冷涼な地域からも発見される。ただし常に乾燥している地域の植物には見つからないという。 どのようなダニ室を作るかは種ごとの特徴ではあるが、より上位分類群での特徴とは限らない。たとえばガマズミ属の植物もダニ室を作るものがあり、日本産の14種の中で10種がダニ室を作る。その中でサンゴジュのみは穴型、その他のコバノガマズミなどは毛束型のダニ室を作り、しかも毛束型にもタイプの異なるものがある。その系統関係からこの形質は系統樹のあちこちで散発的に出現したと考えられる。 ただしダニ室の研究は主として動物学者の手で行われており、植物学者の手があまり入っていない。そのためか植物学分野におけるダニ室の扱いはごく薄く、その点でアリ植物とは大きな差がある。例えば「植物の百科事典」にはアリ植物は独立の項としてあるが、ダニ室は索引にも出ていない。『朝日百科 植物の世界』にはアリ植物の項こそないもののその言葉とそれに関する記述がまとまって存在するのに対して、ダニ室の語もそれに関わる記述もない。またダニ室に関して有名なクスノキの項でも葉についての説明で「微小な膨らみがあり、ダニの1種が寄生する」とあるだけである。図鑑でも同様で、例えば保育社の原色日本植物図鑑シリーズのクスノキの記述ではダニ室を『小嚢』と記し、その配置を示し、『これは壁虱の幼虫が入っている』とひどく曖昧なものになっている。その他、植物図鑑でダニ室について触れているものはほとんどない。
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