仮面と覆面
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初出:『小説すばる』2014年11月号 ストーリー コルテシア東京に典型的なオタク5人組がチェックインする。彼らの目的はホテルを予約した美人で知られる人気女流作家・タチバナサクラの居場所を突き止め遭遇することにあった。タチバナサクラの担当編集者の望月に事態を知らせ、トラブルが起きないよう目を光らせる尚美だったが、タチバナサクラとして宿泊したのは玉村薫と名乗る中年男だった。望月から玉村が女流作家の覆面を被らざるを得ない諸事情を知った尚美は、あらゆる手段を講じることも辞さないオタク達から、その秘密が明らかになるのを防ごうとするが、一方で缶詰め状態で小説を執筆しているはずの玉村が度々外出していることに引っ掛かりを覚えていた。 登場人物 玉村薫(たまむら かおる) / タチバナサクラ ペンネーム「タチバナサクラ」として活動する、性別、生年月日以外は非公表で計算すれば年齢27歳という人気女性作家。実際は玉村薫という中年男性。今年の春から一ツ橋出版主催の新人賞に受賞したデビュー作が、青春小説のジャンルながらも過激な性描写もウリとなりヒットし、その後もベストセラーを連発している。しかし受賞しやすいだろうと性別詐称をしていたことを知った編集部により、女性覆面作家として売り出されるが、ファンに幻想を抱かせるために瓜実顔で仕上げた合成写真が、ボカシを入れる前に流出したことから、本人の知らないところで熱狂的なファンに捜索される身となる。逃走癖があり幾度か雲隠れして望月らを困らせている。尚、高校生の娘がおり、編集部への電話の応対は彼女がしていた。 望月和郎(もちづき かずろう) 一ツ橋出版勤務で玉村の担当編集者。玉村に新作を上梓してもらおうとコルテシア東京を予約して玉村を缶詰にし、「動物園の飼育係と同じ」と割り切り、お目付け役として玉村が逃げずに執筆に専念しているか目を光らせている。タチバナサクラの正体を知った尚美に、その正体を知られないように協力してほしいと頼む。 目黒和則(めぐろ かずのり) タチバナサクラファンのオタク5人組の一人。黒縁眼鏡を掛け、中年にも高校生にも見える栃木在住の年齢不詳の男性。 犬飼(いぬかい) オタク5人組の一人で静岡在住。5人の中では強気な態度を取ることが多い。 今村祐二(いまむら ゆうじ) 出版社「灸英社」文芸書籍編集部勤務の男性。タチバナサクラに仕事の依頼をするため、コルテシア東京を訪ねて来る。
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