他の伝説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/13 04:36 UTC 版)
福井県にも良く似た伝説がある。こちらの伝説では、越前国南条郡池ノ上の弥兵次という豪農が主人公である。内容は岐阜県側に伝わる伝説とほぼ同じである。 福井県にはこのような後日談も伝わる。 龍神にはもともと、美濃から嫁いできた雌龍の妻がいたが、龍神が生贄の娘を得て以来、夫婦仲が悪化した。龍神は一計を案じて、大蛇に化して湯尾峠に横たわり道を通れなくした。 ある日、江戸へ向かう加賀藩の武士が、大蛇を跳び越えて走り去ろうとしたところ、大蛇は山伏に化して「私を跳び越える度胸のある者を探していた」と話しかけた。そして「私は夜叉ヶ池の龍神だが~(これまでの経緯の説明)。2匹の雌龍が蝶に化して争うとき、腹の赤い蝶(龍神は明言しないが元々の妻)を弓で射止めよ」と頼んだ。 武士は南条郡堺村広野(現 南条郡南越前町広野)で10日ほど弓矢の練習をしたのち、夜叉ヶ池に行って腹の赤い蝶を射止めた。武士は帰るときに、広野で世話になった的場という家に弓を置いて行った。この地が龍崎的場であり、現在も弓が伝わるという。 今庄には他にこのような物語もある。 母と2人で暮らす娘の元に、夜叉ヶ池の蛇が人間の男に化けて夜な夜な通った。娘が次第に痩せてくるので母が問いただすと、娘は「台所の水を流す口から男が出てくる」と言った。そこで、男が夜眠っている間に、男の着物に麻糸を縫い付けさせた。夜が明けて、糸をたどっていくと、夜叉ヶ池で蛇が死んでいた。その後、娘を菖蒲湯に入れると、たくさんの蛇の子を死産した。 この物語は日本各地に分布する「蛇婿入」物語の一種であり、記紀神話でタマヨリビメが三輪氏の先祖オオタタネコを産んだ話の変異形である。 また、慈眼寺の縁起によると、その昔、夫婦がこの池に沈み夜叉と化したため、夜叉ヶ池と呼ぶという。数百年後、慈眼寺の僧天真が彼らを成仏させたという。
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